スズキが9月に発売した2026年新型「アドレス125」。2023年のフルチェンジで大きくイメージを変えたアドレスだが、新型は随所に改良が加えられ、利便性に磨きをかけたモデルに進化していた。今回はそんな新型アドレスのディテールや、足つきチェックをお伝えしたい。
文/西田宗一郎
兄弟に先んじてアップデート! 従来から大きく進化した新型アドレス
「アドレス」はスズキの快速スクーターとして息の長いシリーズだが、2023年のフルモデルチェンジで従来のイメージを一新。クラシックな丸っこいシルエットの、オーソドックスなスタイルに生まれ変わった。実はこの仕様変更は、アドレス125が大人気を呼んでいるインドの要望に強く応えたもので、スチール製の丈夫な外装パーツや、キックスターターといった現代では珍しくなった特徴を備えていた。エッジの効いた現代的なキャラクターは、同時に登場した兄弟モデル「アヴェニス125」「バーグマンストリート125EX」に譲り、あくまで質実剛健路線を取ったわけだ。
そんなアドレス125が今回、兄弟機から一足早くモデルチェンジし、日本にも今年9月から導入が開始された。一見するとルックスは先代とさほど変わらないように見えるが、よく観察すると様々なポイントが改良され、より実用性を引き上げるアップデートが施されているのが新型アドレス125だ。まず大きなポイントはフレームで、新型では剛性アップと軽量化を狙った設計に見直されている。直進安定性と軽快なコーナリング性能を支える重要なアップデートだが、リアショックの装着位置が変更され、燃料タンクやシート下のメットインスペースが広がったという目に見える進化に繋がっている。
外装類は従来からのヨーロピアンテイストを引き継ぎつつ、灯火類のデザインやレイアウトが見直された。ヘッドライトは小型化、ポジションライトがU字型の別体としてフレームに装着され、フロントマスクの印象はかなり変貌。テールライトも同時に変化しており、こちらもU字型のLEDライトを採用。ウィンカー類はバルブ式だが、現代的なスタイルに生まれ変わった。そしてアドレス125の大きな特徴だったスチール製の外装パーツは、フロントフェンダーやレッグシールドの一部を残して樹脂製となり、軽く薄いパーツへ置換。装備の充実に対して、車体重量がほとんど変わらないのはこの素材変更が理由のひとつだ。新型は従来の105kgから、108kgというわずか3kgの重量増にとどまる。
エンジンはフレーム変更に合わせてケースが変更された、スズキエコパフォーマンス(SEP)エンジンを続投。空冷単気筒で8.4PS/6500rpmを発揮する。また同時にカムプロフィールやエアクリーナーボックス、エキゾーストパイプに改良が施されており、1.0kgfの最大トルクを発揮できる回転数が引き下げられ、加速性と力強さを実感しやすくなっている。
リアキャリア標準装備! メットインも拡大してヘルメットも入るぞ
そして外見上の大きな違いは、リアキャリアが標準装備されていることだ。積載性を高めるパーツというのは言わずもがな、ワイドサイズでタンデムグリップを兼ねるほか、ゴム製のカバーが装着されていることで、タンデムの際にも便利に使うことができる。また先代ではテールに露出していた燃料キャップが格納され、キー操作で開閉する形式に。スタイルの格好よさもアップしたが、フレーム改良でタンク容量も5.3Lに増加した。キャップ置きがついているというのもなかなか憎いサービスだ。
タンクも大きくなりつつ、メットインスペースも拡大している。21.8Lとされていた先代のスペースはやや小さく、ヘルメットを入れるとギリギリのサイズだった。ところが新型では容量を24.4Lとし、車載工具や書類に加えてヘルメット1個は余裕で収まるサイズに。もちろんシート高が高くなるなどといったデメリットはなく、純粋に使い勝手が高まる改良だ。さらにレッグシールド裏には収納ポケットが追加されており、ペットボトルなどを気軽に持ち運ぶことができる。キャリアも相まって、積載性は全面的にパワーアップした形といえる。
足付きは良好! 軽さの恩恵?
このようにテイストは従来のまま、利便性を引き上げた新型アドレス125だが、気になる足つきはどうだろうか。筆者が跨ってみたところ、足つきは従来モデルよりもよいように感じた。シート高は770mmで数値上は変化がなく、身長165センチ/50kgという小柄な体格だとカカトが浮くくらいの接地感。しかしボディの軽さのためか、引き起こしも楽でバランスも安定している。シートの下にあるメットインスペースや燃料タンクが大きくなっているのに、むしろ足付きは楽になっているというのは奇妙だが、これはシート形状も車体に合わせて改良された結果とのことだ。
全面的なアップデートを見せてくれた新型アドレス125は、誰でも、どこでも乗れるオーソドックスなスタイルはそのままに、使い勝手にまつわる部分を徹底的にブラッシュアップし、洗練されたモデルとなっていた。海外でも本機は非常に高い評価を受けており、スクーターを実用の足として徹底活用するインドでは、なんと年間80万台もの台数を生産予定だというから驚きだ。スズキの単一モデルとしてはトップとなる生産数であり、実直な本機を根強い人気が支えていることがわかる。
もちろん日本においても、原付二種スクーターを通勤&通学、配達といった日常の足としているライダーにとっては、今回のアップデートは全面的に歓迎できるものだろう。さらに価格もかなり抑えられており、先代から5500円アップにとどまる28万500円と、コストパフォーマンスの面からもうれしい設定だ。万能の原二スクーターとして、多くのユーザーの選択肢となる1台といえる。
アドレス125(2026)主要諸元
・全長×全幅×全高:1880×690×1155mm
・ホイールベース:1260mm
・シート高:770mm
・車両重量:108kg
・エンジン:強制空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒 124cc
・最高出力:6.2kW(8.4PS)/6500rpm
・最大トルク:10N・m(1.0kgm)/5000rpm
・変速機:Vベルト式無段変速
・燃料タンク容量:5.3L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90-12、R=90/100-10
・価格:28万500円
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/490809/
【165cm足つき〇】新型「アドレス125」はレトロ&スポーティーに全面進化していた!ディテール&足つきチェック【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/490809/490835/
















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