寿命があることはわかっていながら、ついつい放置してしまいがちなのがクルマの消耗パーツ。とはいえ交換のタイミングを知らせるサインを見落としてしまうと、思った以上の出費となることも!
文:井澤利昭/写真:写真AC
【画像ギャラリー】放置で修理代○十万円コースの消耗品とは?(9枚)画像ギャラリーブレーキパッドは利きの悪さや異音を感じたら即交換!
クルマを構成する部品のなかでもとりわけ重要とされ、正しく機能しないと大きな事故へとつながるのが、走っているクルマを停止させるためのブレーキだ。
ここ最近の乗用車では、車輪に付けられたブレーキディスクをパットで挟み込むことで生まれる摩擦で制動力を得る「ディスクブレーキ」が採用されていることが多いが、このブレーキパッドはブレーキをかけるごとに徐々に減っていく消耗品のため、定期的な交換が必要となる。
ブレーキパッドの寿命は走り方にも大きく左右されるものの、新品時に10mm程度の厚さがあるパッド部分の残りが3mm以下になると交換が必要とされ、厚さが2mm以下になると危険な状態。
とはいえ、パッド残量センサー付きのクルマでないかぎり、ブレーキパッドの残量を正確に確認するには車体からホイールを外す必要があり、素人では交換のタイミングがなかなかわかりづらい。
交換時期を過ぎたブレーキパッドをそのまま放置すれば、ブレーキの利きが悪くなるのはもちろん、ブレーキディスクの破損やさらにはブレーキキャリパーなど関連する部分にもトラブルを引き起こす可能性が高まる。
さらにブレーキが正常に作動しないことでクルマの制動力が落ちると、ドライバー自身を危険にさらすだけでなく、周辺のクルマや人を巻き込む大事故へと発展することもありうる。
こうしたトラブルや事故を起こさないようにするためには、ブレーキパッドが消耗しているときに起こるさまざまな前兆=サインを見逃さないようにすることが大事だ。
ブレーキの利きが以前より悪い気がする、ブレーキペダルを踏んだ際の感触がいつもと異なるなどの違和感を覚える。
ブレーキをかけるたびに「キーキー」や「シャリシャリ」といった異音がする。ブレーキフルードが規定量より減っている。
こうした現象がみられる場合はブレーキパッドが摩耗し、寿命が近づいている証拠。
また、ブレーキに異常を感じない場合でも、走行距離が5万kmを超えている場合は、ブレーキパッドの消耗を含め、ブレーキシステム全体に異常がないかを一度確認しておきたい。
なお、ブレーキのメンテナンスや修理は国の認証を受けた工場でのみ受けることが許されているため、無理にDIYでやろうとせず、必ずディーラーや専門のショップなどに相談するようにしたい。
エンジン周辺のさまざまな機器を動かすファンベルトも消耗品
ファンベルトとはエンジンの冷却水を循環させるためのウォーターポンプやエアコン用のコンプレッサー、発電用のオルタネーターといったエンジンの補機類を駆動する役割を担うベルトのこと。
もともとはエンジンを冷やすための冷却ファンを回すベルトのことを指す言葉で、ベルトを使用しない電動ファンが主流である現代のクルマでは厳密には当てはまらないものの、補機類を駆動するための「補機ベルト」や「Vベルト」、「リブベルト」のことを、かつての名残から総じて「ファンベルト」と呼ぶことも多い。
タイヤやブレーキパッドのように頻繁に交換することはないファンベルトではあるが、一般的な寿命は5~10万kmまたは、新車登録時から5~10年程度が交換の目安。
とはいえ、主にゴム素材が使われているファンベルトはクルマの扱い方や環境によって、寿命が短くなることも考えられる。
先ほども触れたとおりファンベルトはエンジンに関わる補機を動かすためのものなので、万一切れたりするなど動力を正常に伝えることができなくなれば、そうした補機類は当然作動しなくなる。
その影響は思いのほか大きく、コンプレッサーが動かなくなることでエアコンが正常に作動しなくなる、オルタネーターでの発電ができなくなることでバッテリーがあがる、冷却用のウォーターポンプが作動しなくなることでエンジンがオーバーヒートするといったさまざまな箇所でのトラブルの原因に。
ファンベルト交換の前兆としてわかりやすいのが、走行中、エンジンルームから聞こえる「キュルキュル」という音で、この音がし出したらゴムの劣化などによって回転中のベルトが滑っていることが考えられる。
「鳴き」とも呼ばれるこのキュルキュル音は、エンジンの始動直後や雨が降った後、寒い日などには特に発生しやすい。
異音がするからといってベルトが切れるといった不具合がすぐに出るわけではないが、ベルトの緩みやキズやひび割れ、ほつれといった不具合がないかなどを早めに確認するようにしたい。
前述のとおりファンベルトはさまざまな機器に関連しているため、もしそれらすべてにトラブルが出てしまうと、その対応にはかなりの出費を覚悟しなければならない。











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