歴史に残る名エンジンだって登場当初には辛口の意見をもらったこともある。今回は、数々の批判を跳ねのけ、最後には名機と呼ばれるようになったエンジン(シリーズ)を紹介していきたい。その魅力はどこにあったのか?
文:長谷川 敦/写真:アウディ、日産、ホンダ、マツダ、三菱自動車、CarWp.com
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●マツダ ロータリーエンジン
2023年にマツダのプラグインハイブリッドモデル・MX-30 eスカイアクティブ R-EVの発電用エンジンとして復活を果たしたのがロータリーエンジン。
現在、純粋な動力用にロータリーエンジンを採用するクルマは存在していないが、かつてはマツダを象徴する存在としてロータリーエンジンが君臨していた。
ロータリーエンジンの基本構造は、1950年代にドイツ人技術者のフェリクス・ヴァンケルによって確立され、ドイツの自動車メーカー・NSUが1957年に試作品を完成させている。
そのNSUではロータリーエンジン搭載車を市販するものの、完成度が高いとはいえずトラブルが頻発。このエンジンが一般に普及するのは難しいと思われた。
だが、自社だけの技術的特徴を求めていた日本のマツダはロータリーエンジンの可能性に注目し、NSUとロータリーエンジンに関するライセンス契約を結んだ。
当然ながらマツダにとってもロータリーエンジンの開発には幾多の困難があったが、試行錯誤の末に本格的な量産に成功し、1967年にはマツダ初の量産型ロータリーエンジン搭載車のコスモスポーツがリリースされた。
ロータリーエンジンはその構造上エンジン全体をコンパクトにすることができ、軽量化がしやすいことに加えて振動の少なさや排気量あたりのパワーが大きいなどの利点を持っている。
実際、RX-7シリーズをはじめ、ロータリーエンジンの特性を生かした高性能なモデルが多数誕生している。
だが、燃費の悪さやエンジンオイルの消費量も多いという難点もあり、これが省エネルギーを重視する今の時代にフィットしているとは言い難い。
そのため、動力用としてのロータリーエンジンは、2012年のマツダ RX-8販売終了をもってその歴史を終えている。
発電用とはいえ、11年ぶりの復活を果たしたロータリーエンジンが動力用でもよみがえるのか? 期待を込めて見守りたい。
永遠の名車に名エンジンあり
●日産 RB26DETT
1989年にデビューした日産のR32型スカイラインGT-Rは、シリーズ初の4WDを採用したことでも話題になった。
当初はオンロードモデルでの4WDに否定的な声もあったが、実際に当時のグループA規定レースに投入されたR32は圧倒的な速さを披露して、その狙いが正しいものであることを証明した。
そんなR32を支えたのが、ターボチャージャーで武装した直6エンジンのRB26DETTだった。
RB26DETTの排気量は2.6リッターで、公道用スポーツカーではやや中途半端な印象があるのは否めず、実際にこれを懸念する意見が出たのは事実。
だが、この排気量はグループA規定レースで勝つために導き出された必然的なものであり、市販車では税制上不利になることがわかっていても、メーカーとしては譲れない数字だった。
しかし、市販型R32スカイラインGT-Rに搭載されたRB26DETTエンジンは、ストリートでもパワフルかつ扱いやすい特性を発揮し、事前の杞憂を覆す高い評価を獲得した。
スカイラインGT-Rはその後R33、R34へと進化するが、RB26DETTはそれらのモデルにも継続使用される息の長い名機になった。























コメント
コメントの使い方素晴らしいエンジンたちです。大好きな国産の緻密な大排気量(日産VQやレクサス2UR)もぜひ。
そして過去の物だけでなく「今もあり、これからも作り続けるエンジン」をもっと評価して欲しいです。
具体的には過給機を排し真の低重心を得たボクサーFA24や、トヨタのG16,ホンダLFCなどの、今をときめくスポーツエンジンたちです。実用機とは全く別物です。