自動車メーカー各社から登場するクルマの中には「悪くないけど……惜しいよなあ」というクルマが存在する。そこで我らが伊達軍曹どのが「鬼軍曹」となり、頼まれてもいないカイゼン案を検討! ホンダのカイゼンに乗り出した!!
※本稿は2025年10月のものです
文:伊達軍曹/写真:ホンダ
初出:『ベストカー』2025年11月10日号
※月平均販売台数は2025年1月〜8月までの平均です
流行に迎合すべきかホンダイズムを貫くか?
今回の会議の俎上に載せたい車種の数が最も多かったメーカーがホンダだ。ホンダが作っている車種はいずれも出来がよく、個人的にはトヨタ車の販売台数に肉薄してしかるべきと思っているが、実際はそこまでではない。
圧倒的なのはN-BOXくらいで、そのほかの車種は「もうちょい売れてもいいのだが……」というニュアンスにとどまっている場合が多い。
そのため会議では「言い方は悪いが、ユーザーの嗜好にもっと迎合し、超売れ線志向に徹するべきだ!」という意見も出た。
しかし、それをやってしまうと「ホンダがホンダたる理由」が希薄化し、結果としてコアなホンダ党が離脱すると同時に、「無党派層からの支持も、結局はさほど集まりませんでした」という最悪の事態を招く可能性もある。
となれば、取り得る方策は「ホンダイズムという根幹部分は死守しつつ、迎合できる部分は迎合していく」という方向になる。
具体的には、
「なんだかんだ批判も多いフィットのフロントマスクは刷新する」「重量増は承知でN-WGNをスライドドア化する」などの迎合策は打つが、強固な信念に基づいてデザインしたN-ONEやステップワゴン エアーのシンプル系デザインは、決して安易に迎合してオラオラ系に微調整したりしない……。
というようなものだ。
特にステップワゴンは、スパーダも含めてもっとオラオラなデザインに改変したい誘惑に駆られるモデルだが、そこはグッと堪えるべきである。
そんなことをしても、短期的なセールスは多少上振れするかもしれないが、長期的には失うもののほうがはるかにデカい。「エリシオン プレステージ」の失敗を繰り返すべきではないのだ。
ホンダというメーカーの強みは、「ニッチ」と「メジャー」という相反する要素を同時に備えている、という点にある。
決して過剰にニッチでマニアックなブランドではなくメジャーブランドではあるのだが、どこかニッチな香りもあり、実際、「タイプR」や「F1」など、量産車メーカーとしてはニッチ系に該当する無形資産を豊富に有している。
メジャー感とニッチ感がより最適にバランスされた時、ホンダは、今以上に「唯一無二の自動車メーカー」となるだろう。
フィットのカイゼン点……不本意だが顔つきをオラつかせて流行に乗る
この優しいニュアンスのデザインを死守したいところではあるが、背に腹は代えられないというか、人間も企業も時には妥協が必要。世間様の意見に合わせるふりをして、若干オラついた系のフロントマスクに変えてしまおう。
N-WGNのカイゼン点……足りないのはスライドドア! 無理を承知で何とか採用を!
基本的な部分の実用性および走行性能については何の問題もないどころか、きわめて良好であるN-WGN。足りないのは「スライドドア」だけ。無理は承知だが、なんとかならないものか!




















コメント
コメントの使い方少し前までなら本当に仰る通りで、見た目が気に入ってれば非常に優秀な選択であり、
見た目さえブラッシュアップすれば一気に売れ筋になる総合力がありました。
しかし外見で売れない期間が長すぎて、経営陣は不振分を「一台ごとの利益率を高める方針」で解決しようと動き、
値上がり強行と今後もその方針のためバランス崩壊。中身がよければ割高は気にしない、という人にしかお勧めし辛くなってしまいました