【かつての栄華から転落】ホンダの超名門アコード&レジェンドの苦悩と行く末

【かつての栄華から転落】ホンダの超名門アコード&レジェンドの苦悩と行く末

 1976年の初代発売以来、40年以上の歴史を持ち、世界120以上の国と地域で販売され、累計2000万台以上が送り出されているホンダの看板車種「アコード」。

 そして、1985年に初代モデルが登場し、モデルサイクル途中で日本車初となるエアバッグを採用するなど、各世代ごとにホンダの最新技術が投入されてきたフラッグシップセダン「レジェンド」。

 今、この2車種の国内販売台数がかなり厳しい数字となっている。たびたび語られる、国内でのセダン人気の低迷が大きく影響しているが、原因はそれだけではないようだ。

 かつては栄華を極めた2車種だが、ホンダディーラーにとって両車はお荷物になっているのではないか? 販売の現場としてこの厳しい状況をどう捉えているのか? その実情について取材した。

※2020年7月までの納期のオーダー枠に関して、追加取材し本文に追記しました。ご参照ください(2020.3.26 20:20)

※2020年7月までの納期のオーダー枠に関して、一部事実関係を再確認し、追記しました。重ねての修正、お詫び申し上げます(2020.4.3 19:55)

文/遠藤徹
写真/編集部

【画像ギャラリー】かつては大人気車種だった歴代アコード&レジェンドを一挙振り返り!


■月100台も売れない2車種 その厳しい実情

 2019年で見ると、ホンダの上級セダンである「アコード」は月販90台以下、「レジェンド」に至っては月販20台以下に落ち込み、ますます存在価値がなくなっている。

 しかしながら、アコードは2020年2月21日にフルモデルチェンジし、レジェンドは2020年中盤にもビッグマイナーチェンジし、なんとか人気復活をさせようと躍起になっているのがメーカーであるホンダのスタンスだ。販売店としては、この販売実績だと積極的に売り込みをかけようともできないのが実情といえる。

2020年2月に10代目となる新型が発売された「アコード」。モデルチェンジ前(9代目)の2019年累計販売台数は1056台で、月販88台と苦戦
2018年の改良で大きくデザインを一新した現行型「レジェンド」。ホンダが誇る先進技術を随所に盛り込んだセダンだが、月販20台と他社のライバルと比較しても特に厳しい状況だ

 各ホンダカーズ店にカタログは置いてあり、注文も受け付けているものの、展示車や試乗車を置いてある店舗がほとんどない。メーカー資本の大型販社でも両モデルで1台くらいずつしかなく、各店舗に持ち回りでデリバリーしてお客さんに試乗させたり、見せたりしている程度である。

 アコードは、現行の新型車から従来の国内産だったのをタイでの組み立てに切り替え、国内で完成検査をして希望ユーザーに納車する方式に改めている。グレードも従来の「LX」「EX」の2グレード構成からフル装備「EX」の1グレードに絞っている。

 年間の販売計画は300台と公表されているが、2020年度分は200台弱の限定台数に絞り込んでいる。こうした状況だと、ゆくゆくはモデル廃止に追い込まれそうだが、すぐに廃止できない事情もある。


※注/記事公開後、ホンダ営業担当者より「2020年4月以降のオーダー枠は月販目標の300台以上を確保している」との情報がもたらされた。

 取材販売店より伺った話と齟齬があったようで、慎んで付記したい。実際、ホンダによれば2月は511台、3月は965台を登録するなど一定の新車効果が見られた。また、3月末時点で受注台数は約1900台に達しているという。

 ただ、この数字(勢い)をどのくらい維持できるかが今後の浮沈の鍵を握るといえそうだ。


 アコードは、北米を中心にしたグローバルでの人気モデルで、現地では月販2~3万台ものヒットモデルだ。

 ホンダブランドの最上級FFセダンで、ハイテクを盛り込める存在価値の高いモデルだから、最新の技術開発デバイスの実用化に貢献している側面がある。レジェンドも同様であり、アキュラブランドの最高峰で世界的にもまれな3モーターによるハイブリッドを売りにしている。

次ページは : ■他社もセダン不調だがホンダに欠けているピース

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