【かつての栄華から転落】ホンダの超名門アコード&レジェンドの苦悩と行く末

■他社もセダン不調だがホンダに欠けているピース

 日本ではなぜ売れ行き不振なのか。大きな要因は、セダン市場の極端な低迷である。これはトヨタ、ホンダ、マツダ、スバルなどの各社も同様である。ホンダもかつての隆盛時には、アコードが兄弟車の「ビガー」とともに月販1万台以上も販売した実績もあった。

 トヨタや日産に比べると、さらに売れ行き不振に見舞われている要因は何か。特に日産とは今や販売力では互角であり、登録車ではホンダのほうが販売台数は多い車種も存在する。上級セダンだけが大きく引き離されている。その理由のひとつは、法人需要に弱いことである。上級セダンの法人需要とは主に企業の役員が運転手付きで使ったりするケースである。ホンダには、こうした用途で上級セダンを使うのは、ホンダ自身やサプライヤーなど下請けの関係先くらいだろう。

 またアコードでいえば、世代交代でフルモデルチェンジするたびに、サイズ&クオリティアップし上級シフトし価格も跳ね上がった。こうした対応は、メイン市場であるニーズに合わせたためといえる。体の大きい現地ユーザーに合わせたものだ。

 今やアコードはクラウン並みのサイズ&クオリティ、そして価格設定で、レジェンドはかつてのトヨタ「クラウンマジェスタ」、現在はレクサス「GS」や「ES」が対抗モデルであるが、ホンダユーザーにはほとんど存在しないコンセプトといえるだろう。

国産車のセダンでは最も売れている「クラウン」。クラウンの価格は469万1500~732万500円。対するアコードは465万円、レジェンドは720万5000円だ。レジェンドは、クラウンの3.5Lハイブリッドの最上級モデル(732万500円)とほぼ同価格となる

 レジェンドは2020年の年央にはビッグマイナーチェンジする。フロントを中心としたエクステリアデザインの大幅変更、内装のクオリティアップが図られるが、メカニズム面は3モーターのハイブリッドシステムに多少の手が加えられるが、足回りや走行性はあまり手直ししないようだ。

 したがって、こうした商品ラインアップの強化にも関わらず、新型となった両モデルの人気回復は引き続き難しいと思われる。ますます販売台数が低迷するようだと、国内での販売継続は廃止せざるを得なくなるかも知れない。それでも、ホンダを代表するフラッグシップはハイテクの具現化のために必要と考えるならば、細々と生産販売を継続することになるだろう。

■現場が感じるアコードとレジェンドの苦境

●証言:首都圏ホンダカーズ営業担当者
・新型アコードについて
 アコードは新型になったばかりで大幅にクオリティアップしエンジンも改良、最新のホンダセンシングを標準装備している。ただ価格もトヨタのクラウン並みに高くなったので、簡単に売れるクルマではなくなった。今契約すると3カ月以上の納期になっている。

 人気が高いわけではない。メーカーは販売台数が限定されると予想し、2020年7月までの生産販売枠を100台しか取っていない。年間300台の計画を公表しているが、今年分は200台もないのだ。「EX」の1グレードだけでナビ付のフル装備だから、あとはドライブレコーダーとコーティングあたりのオプション、付属品で間に合っている。

・レジェンドについて
 2020年中盤にビッグマイナーチェンジすると聞いている。内外装はがらりと変えて質感をアップさせるがメカニズム面はパワーユニット、足回りなど殆ど変更はないようだ。

 こちらはアコードよりももっと販売台数が少なく、月にひと桁の数台しか売れていない。新型になっても同じだろう。毎月の売り上げの数に入っていない状況にある。いずれはモデル廃止になるかも知れない。

【画像ギャラリー】かつては大人気車種だった歴代アコード&レジェンドを一挙振り返り!

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