クルマを選ぶ基準が「走りの愉しさ」から実用性へと重きを置くようになった。それはわかる。
しかし、せっかく決して安くはないお金を払って買うクルマだ。多様な楽しみ方をできるものを選んで損はない。最近は走りも愉しみたい人向けのSUVも増えてきた。
そこでここでは、自動車評論家7人による「走りも妥協したくない人のためのオススメSUVモデル6選」をお届けする。
何が「ドライブの愉しさか」は人によって違う。評論家ごとのそうした解釈・定義も合わせて楽しんでいただければ幸いだ。
●【画像ギャラリー】7人の評論家たちが選んだ、走りも実用も楽しめるSUVたちをチェック!!!
※本稿は2020年2月のものです
文:永田恵一、鈴木直也、渡辺陽一郎、小沢コージ、松田秀士、片岡英明、斎藤 聡/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年3月26日号
■【永田恵一・選】 マツダ CX-5 ディーゼル
走って楽しい、ドライビングプレジャーにはいろいろな形があって、それは人によっても感じ方は大きく違うと思う。
それがSUVの場合にはSUVなのか疑問に思うようなスポーツSUVでサーキットなどを速く走る、ジムニーのようなクロカンSUVでクローズドオフロードコースを走るなど、非常に幅広い。
そのなかで私が選んだのはCX-5の2.2Lディーゼル+MT。
マツダの2.2Lディーゼルは太い低速トルク、高回転まで引っ張った時の爽快な加速など実に表情豊かだ。それがMTだとATの何倍も際立ち、この楽しさをシフトダウンの際のブリッピングやヒール&トゥも含めてふつうに乗っているだけで味わえるのだから素晴らしい。
これって正直なところ、「アテンザでも同じじゃないか」と言われたらそれまでなのも事実だ。でも、CX-5には前後左右の動きが大きいSUVなのを逆手にとって、クルマをスムーズに動かすという走る歓び、ドライビングプレジャーもあると思う。
それがマツダ車は運転を評価するi-DMで可視化されてドラテク向上にもつながるのだから嬉しい。
■【鈴木直也・選】 トヨタ RAV4
ドライバーズSUV、それは自分で運転してみて楽しいモデルになるとボクは解釈したんだけど、今の国産車ならRAV4のガソリン2L車だと思う。
そもそも考えてみてほしい。今の国産SUVのなかで明確に走りに振っているモデルって、このRAV4以外に見当たらない。例えば、マツダでいえばCX-5は最近ファミリー色を強めているし、同じマツダのCX-30はSKYACTIV-X搭載でますますシティ派路線を突っ走っているじゃない?
やっぱりさ、日本のユーザーって慧眼でクルマへの物差し、審美眼が鋭いの。RAV4はイマドキ珍しく走りの楽しさを謳ったSUVでそのあたりをうまくアピールしているし、日本COTYを受賞したのも伊達じゃない。
2L直噴NA、ダイナミックフォースエンジンの出来がいいのもあるけど、ユーザーもちゃんとわかっているんだよね。
本命は今後登場予定のリアモーターを強化したスポーツ4WDのPHV車だろうけど、ボクは今ならガソリン車だと思う。
■【渡辺陽一郎・選】 スバル XV e-BOXER
個人的にドライバーズSUVというと、ふたつの捉え方があると思う。
まず、ひとつ目がSUVだけど走行安定性がいいモデル。例えば峠道などでSUVならではのネガを感じさせない車高が低めなコンパクトSUVだ。
もうひとつが峠道では決して速く走れるワケではないけど、車高が高いぶん挙動変化が穏やかだからロールの仕方も穏やかで、俊敏なスポーツセダンよりも逆にアクセルコントロールなどで自分が操っている感覚が強まるミドルSUV。
ここで私が推したいのは前者のスバルXV。全高が1550mmとSUVにしては低めでありながら、最低地上高も200mmを確保。現在、2Lガソリン車が昨秋の改良でカタログ落ちしたため、ラインナップは2LマイルドHVのe-BOXERと1.6L NAの2本立てだが、個人的にお薦めはe-BOXER。
決して燃費がいいパワートレーンではないが、CVTがイージーに変速したがらない傾向をモーターのパワーアシストが補ってくれる滑らかさが気に入ったからだ。
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