ホンダの象徴とも言える「Hマーク」。そのロゴが2026年に大きく刷新されました。ただのデザイン変更ではありません。実は今回の新しいHマークは、ホンダが四輪事業をスタートさせた1963年に採用された初期のロゴデザインの精神を再び取り入れた「原点回帰」の表れでもあるのです。本稿ではその歴史的背景、新旧Hマークの関係、そしてクルマを選ぶ上での意味まで解説します。
文:ベストカーWeb編集部/写真:HONDA
なぜ今、ホンダは「Hマーク」を刷新したのか
ホンダがこのタイミングでHマークを更新した背景には、自動車業界の大きな変革があります。電動化、自動運転、ソフトウェア中心の開発……クルマの価値そのものが変わろうとしているなかで、ホンダは新しいブランドシンボルを示す必要に迫られました。
単なるエンブレム変更ではなく、「これからのホンダのクルマづくり」を象徴し、ユーザーとの信頼関係を再構築する役割が期待されています。新Hマークは、こうした時代の節目を示す“旗印”とも言える存在なのです。
1963年から続く「Hマーク」の伝統とその由来
四輪車事業が本格的に始まった1963年、ホンダは最初の量産四輪車である軽トラック「T360」やスポーツカー「S500」を世に送り出しました。その際に使われたのが初期の「Hマーク」です。これはただの頭文字ではなく、ホンダ哲学そのものを象徴するものでした。
当時のデザインは、三味線の胴(タイコ)をモチーフに、「H」の文字を囲む形で構成されました。これは創業者・本田宗一郎氏が考えた三つの形(丸・三角・四角)のバランス観に由来しています。丸は「円満」、三角は「革新」、四角は「堅実」を表し、それぞれを適切にミックスすることが企業経営には重要だという本田流哲学が込められていました。
こうした思想は、ただ格好良さを追求したものではなく、ホンダ製品そのものの性格、“革新と信頼性の両立”を象徴するものでもありました。
新Hマークは“原点回帰”の精神を引き継いでいる
2026年に発表された新しいHマークは、シンプルかつフラットなデザインへと進化しました。一見すると今どきのミニマルデザインですが、その根底には1963年の初期Hマークが掲げていた「合理性と信頼感」という価値が色濃く反映されています。
当時のHマークは、余計な装飾を排し、シンボルとしての認知性を重視したものでした。今回の新Hマークも同様に、先進性と普遍性を両立するデザイン言語へと整理されています。つまり、今の時代用にアップデートされた原点回帰なのです。
この原点回帰は、単に過去のスタイルを模倣したものではありません。ホンダが長年大切にしてきた「人間尊重」と「技術の楽しさ」というコアバリューを、四輪事業の未来へつなげることを意図しているのです。
歴史と未来の架け橋
1963年当時のHマークは、実用性と信頼性、確かな技術力の象徴でした。エンジンの力強さや走りの楽しさはもちろん、ホンダ車を選ぶユーザーに対して安心感を与える存在でもありました。対して今回の新Hマークは、クルマ本体だけでなく、電動モビリティやソフトウェア、コネクテッドサービスすべてを含めた“モビリティ体験”そのものを象徴します。
言い換えれば、過去のHマークは体験の中心が機械としてのクルマであったのに対し、今回のHマークは体験全体を包括する現代のモビリティ象徴となっているのです。









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