高級車でも希少車でもない。それどころか、かつてはどこの駐車場にもあった“ごく普通”のクルマたちが主役のイベントが、イギリスで11年以上も愛され続けている。名車とは何かを根底から問い直す「ありふれたクルマコンテスト」の世界をのぞいてみよう!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ハガティ
【画像ギャラリー】オジサン感涙の「ありふれたクルマたち」をみて!(8枚)画像ギャラリー平凡だからこそ胸に刺さる!?「ありふれたクルマ」の明確な審査基準
このイベントの正式名称は「フェスティバル・オブ・ジ・アンエクセプショナル」。直訳すれば“特別ではないクルマの祭典”だ。主役はスーパーカーでも高級サルーンでもない。かつて家族の足として活躍し、スーパーの駐車場や団地の前に当たり前のように止まっていたクルマたちである。
公式サイトによれば、審査基準は実に明快だ。まず重要なのはクルマそのものよりも「ストーリー」。新車時に憧れの対象ではなかったこと、必要最低限の装備であること、そしてオーナーとの個人的な思い出が詰まっていることが高く評価される。過剰なレストアや現代的な改造は歓迎されず、むしろ当時の空気感を残しているかどうかが問われる。
たとえば、派手な上級グレードよりも最廉価仕様。性能自慢よりも生活感。輝くエンジンルームより、ダッシュボードに残る時代の痕跡だ。肉親が乗っていたマーチやカローラを、ふとした瞬間にいとおしく思い出すことがあるだろう。高級車ばかりが名車なわけではない。思い出をたくさん刻んだクルマは、それだけで名車なのだという価値観が、このイベントの根幹にある。
主催はハガティ。クルマ文化を愛する会社だからできる祭典
このユニークなイベントを主催しているのがハガティである。ハガティはクラシックカー保険を軸に、イベントやメディア、コミュニティ運営まで手がける、世界的に知られたクルマ好きのための企業だ。
身近な話題でいえば、人気ゲーム「グランツーリスモ7」に登場するレジェンドカーの評価を手がけているのも同社。単なる保険会社ではなく、クルマを「所有し、語り、楽しむ文化」そのものを支えてきた存在といえる。
そんなハガティだからこそ、価値が低いとされがちな平凡なクルマにもスポットライトを当てられる。フェスティバルは今年で11年以上続き、今や世界中から“普通のクルマ”のオーナーが集まる年中行事となった。会場に並ぶのは、かつて大量生産され、今では静かに姿を消しつつあるモデルばかり。その光景は懐かしく、どこか誇らしい。
ありふれていたからこそ、記憶に残る。特別ではなかったからこそ、人生に寄り添ってきた。そんなクルマたちに拍手を送るこの祭典は、クルマ好きの価値観を少しだけ優しくしてくれる。派手さはないが、確実に心に残る。イギリスって、奥深いなあ。










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