筆者はジョギングを日課にしているが、夜間に走るとヘッドライトを眩しく感じることが多い。「眩しいなあ」と手をかざしながらクルマを見ると、意外と軽自動車ということが多いのだ。いったいなぜ? なんとそこには、社会に根差した事情があったのだ!
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=beeboys@Adobestock)、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】こんなときヘッドライトが眩しく感じる!(6枚)画像ギャラリー軽自動車のヘッドライトは本当に眩しいのか?
夜道を走っていたり、歩道を歩いていると、ときに視界が真っ白になるような強い光を感じることがある。国土交通省によれば2012~2021年の間に、ヘッドライトの眩しさから事故に繋がったというケースが300件以上発生しているという。決して感覚的な不満だけではなく、現実に安全とも関係するテーマなのである。
そんな中、特に最近、軽自動車に対して「なぜか眩しい」という印象を抱く人は少なくない。その理由は、軽自動車そのものの問題というより、近年のクルマを取り巻く技術進化と市場トレンドが複雑に絡み合った結果といえる。
LED化で「眩しさの質」が変わった
まず頭に入れておきたいのは、2017年3月の改正道交法施行に併せて、「夜間走行時はハイビームが基本」というルールが明文化されたことだ。これによって社会的には、ハイビーム使用を前提とする風潮が高まったといえる。
それを踏まえたうえで押さえたいのは、まずヘッドライトのLED化だろう。ハロゲンに比べて明るく、白色で色温度が高いLEDは視認性向上に貢献している一方、人の目には「きつく」感じられやすい。
加えてLEDは発光面が小さく、点光源に近い特性を持つ。そのためロービームでも配光の輪郭がはっきりし、カットライン付近の光がわずかに目線へ入っただけで強いグレアを感じやすい。単純に「明るくなった」というより、「眩しさの質」が変化したことが体感的な違和感につながっているのである。
スーパーハイト化で光が目線に入りやすい
軽自動車市場では全高を高めたスーパーハイト系が主流となっている。室内空間の広さという大きなメリットと引き換えに、ヘッドライトの位置も高くなりがちだ。
その結果、対向車がコンパクトカーやセダンの場合、ドライバーの目線付近に光が届きやすい。歩行者やジョギング中の人にとっても、ほぼ真正面から光を浴びる形になりやすい。SUVが眩しいと感じられる構図と同様の現象が、軽自動車でも日常的に起きているのだ。
【画像ギャラリー】こんなときヘッドライトが眩しく感じる!(6枚)画像ギャラリー車体姿勢変化とオートハイビームの影響
眩しさを強く感じる瞬間は、常時ではなく「一瞬」であることが多い。段差や路面のうねり、加減速によるピッチングで車体が前後に動くと、光軸が上を向く瞬間が生まれる。後席乗車や荷物積載で後ろが沈めば、その傾向はさらに強まるし、上り坂を上ってくるクルマも同様。背の高い軽スーパーハイト系では、こうした姿勢変化が光の入り方に影響しやすい。
さらに近年普及しているオートハイビームも無関係ではない。自動でロービームへ切り替える便利な機能だが、状況によっては歩行者や自転車を正確に検知できず、ハイビームのまま照射されることがある。ドライバーが意図していなくても、受け手側には強烈な光として届いてしまうのである。
こういった問題は、スーパーハイトワゴンを恨んで解決するわけではない。軽自動車のヘッドライトが眩しく感じられる背景には、LED化、スーパーハイト化、車体姿勢の変化、そしてオートハイビーム普及という現代的要素が重なっている。クルマの進化そのものは安全性向上のためのものだが、その光の特性を理解することが、これからの夜間交通においては重要になるだろう。
「ライトの眩しさ問題」は、自動車メーカーやライトメーカーも認識しており、より精度の高いアダプティブライトの開発も進んでいる。「明るいけれど眩しくない」。そんなヘッドライトが早く実現してほしい!










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