実は2026年は、トヨタ カローラの登場から60年となる記念イヤー。カローラがデビューした60年前から現在に至るまで、どのように進化してきたのか? 歴代カローラを振り返ると、その時代の日本と日本人の生活が鮮やかによみがえる!!
※本稿は2026年2月のものです
文:片岡英明/写真:トヨタ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2026年3月10日号
日本の成長と共にあったカローラの歴史
世界中を見回しても、60年以上の歴史を紡いでいる自動車ブランドは少数だ。日本だけに絞れば、さらに数は少なくなる。
60年にわたって日本人に寄り添い、成長を続けてきたトヨタのブランドが「カローラ」だ。誕生したのは1966年、元号では昭和41年の11月5日、センセーショナルなデビューを飾った。
この年は「マイカー元年」と呼ばれている。日本が高度経済成長の真っ只中にあり、暮らしが豊かになった時期だ。GNP(国民総生産)は急上昇を続け、外貨準備高も安定してくる。国民所得は上がり、年収100万円も夢ではなくなった。
勤労世帯の三種の神器はカー、クーラー、カラーテレビの「3C」へと格上げされ、サラリーマンでも頑張ればクルマを持てる時代が到来する。同年春にサニーとスバル1000がベールを脱ぎ、これを追うようにカローラが登場した。
トヨタは乗用車のボトムにパブリカを持っていたが、華やかさに欠けたため販売は伸び悩んだ。この時の失敗を教訓に、入念なマーケティングを行い、開発されたのがカローラだ。ボディサイズを少し大きくして、走りの実力と快適性も上を狙っている。
ライバルを打ち負かすために排気量を急きょ1100ccに引き上げ、スポーティな4速MTを採用した。カローラは「プラス100ccの余裕」のキャッチフレーズで売り出し、大ヒットを飛ばしている。
ユーザーを喜ばせる気遣いを随所に盛り込んだカローラは、すべての項目において80点以上を目指し、それを達成した。
この「80点(プラスα)主義」がカローラをベストセラーカーへと導き、トヨタ躍進の原動力となるのである。そして積極的に仲間を増やし、ファンの期待に応えていった。2ドアクーペの「スプリンター」はその代表だ。
カローラに対するトヨタ首脳陣の期待は大きかった。豊田市の高岡に新工場を建設し、月産3万台体制を確立している。大きな設備投資をしたのは、日本だけでなく海外への輸出も視野に入れていたからだ。1969年に販売ディーラーは「カローラ店」を名乗った。
世界で勝負する日本のカローラ
2代目からはサイズアップを図ったこともあり、コロナに代わってトヨタの主役に躍り出ている。輸出も波に乗り、海外でも高い評価を獲得して好調に台数を伸ばしていった。また、硬派のカローラレビンは走り屋たちを魅了している。
3代目のカローラ「さんまる」でワイドバリエーション体制を確立した。が、高度成長の弊害として大気汚染が社会問題となり、その対策に追われるようになる。これに続いて1973年秋には、自動車業界にオイルショックが襲いかかった。
だが、カローラは1974年に世界の乗用車の車種別生産台数においてVWのビートル、GMのシボレーを抜いてトップに躍り出ている。
1970年代、トヨタは排ガス対策と燃費改善に真剣な取り組みを見せた。ホンダから技術供与されるなど、技術者にとっては苦渋の決断もあったが、この時の苦労と経験は1980年代のクルマづくりに生かされている。
1980年代の最初の年、日本の自動車メーカーの乗用車生産は700万台を超え、アメリカを抜いて世界一になった。この躍進を支えたのが、世界各国に多くのファンを持つカローラだ。
昭和の末期は排ガス対策に技術的なメドが立ち、DOHC 4バルブエンジンやターボなどの過給器によって再びパワー競争が始まった時期だ。カローラも大きな進化を遂げた。パワーユニットを一新し、高性能化と燃費向上を両立させている。新技術の投入により、走りの実力だけでなく快適性も大きく向上した。
小型のファミリーカーは、コンパクトサイズのなかで最大限の室内空間を確保するために駆動方式を前輪駆動のFFに転換するクルマが増えてくる。カローラも弟分のカローラIIは、縦置き方式のFFを採用した。
1983年5月に登場する5代目は、セダンと5ドアHBがFF方式になった。そして2ボックス上級生のカローラFXも誕生する。だが、走りの楽しさにこだわるレビンは後輪駆動を受け継いだ。AE86の型式を与えられた第3世代のレビンは、新世代のDOHC 4バルブエンジンを搭載する。
レビンは1985年から始まったグループAカーによるツーリングカーレースやラリーなどのモータースポーツでも大暴れした。
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