現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」をお届けする。毎年3月下旬になると必ず思い出す新卒で入社したあの春のことだ。今回は新社会人に贈るエールだ。それでは出発しま~す。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■個性豊かな同期たち
新社会人とはワクワクとドキドキが入り混じった日々である。同期同士の笑い声は忘れてはならない。今ではもう集まることのできないメンバーもいるからだ。あの時間は確かに青春だった。新社会人の皆さんもそうだろう。これから新社会人になった私がやらかすさまを紹介する。新社会人がやらかしても何の心配もいらないという証なので、笑ってご覧いただきたい。
私はご存知の通り、へっぽこだ。人よりペースも遅く、どこか抜けている。そんな私を支えてくれたのが、しっかり者や、少し天然で不思議な雰囲気の持ち主や、そして出向や合併でもずっと一緒だった戦友もいた。あの頃は、とにかく毎日が楽しく新鮮で、何もかもがキラキラして見えた。知らないことは不安でもあるが、好奇心が芽生える時期でもあるのだ。
ある日、寮で天然ちゃんの部屋の扉をこっそり開けたことがある。すると彼女は一人で「新宿御苑!新宿御苑!赤坂御用地は俺に任せとけ!」とラップ調で何かを唱えていた。見てはいけないものを見てしまったのか。しかしそれは、どうやら独自の暗記方法らしかった。その光景に、同期みんなで笑い転げたのを今でも覚えている。彼女のあの独特な世界観は、今でも大好きだ。
バスガイドの先生に怒られた日も、ただ落ち込むだけでは終わらなかった。風呂場に集まって、その日の愚痴を言い合いながら頭を洗い、一緒に湯船に浸かる。気づけば笑いに変わっていて、また明日も頑張ろうと思えた。
コロナ禍ではあったが、たった2週間とは思えないほど濃くてあたたかい時間だった。愚痴は悪いことばかりではないことは覚えておいて欲しい。愚痴を言い合うことにより不安や不満を共有できる効果がある。ただし愚痴は翌日に持ち越さず、披露したその場で捨て去ることが肝要だ。
■突然の終わり
そのような楽しい時間はあまりにも突然に終わる。緊急事態宣言が発令され、同期はバラバラになり、それぞれの場所へ戻っていった。関東出身の子は実家へ帰り、私は当時家族との関係が不安定だったこともあり、寮と実家を行き来する日々だった。
また、物理的な距離ができたことで、心まで離れてしまった子もいた。こうした突然のイレギュラーはみんなが動揺する。流されないように自分をしっかり持つことが大切だ。
それでも、あの時間を一緒に過ごした事実は変わらないので、今でも大切な仲間だと思っている。同じ空の下、どこかで元気に過ごしていてほしいと願っている。
■へっぽこは最初からへっぽこ
ちなみに、私の新卒最初のやらかしはなかなか強烈だ。上京前日「明日から東京」という実感が湧かず、のんびりしていた結果、バスガイドの卵のくせにバスの出発1分前に到着してしまう。見送りに来てくれた親友に「アンタらしいね」と笑われた。
さらに追い打ちをかけるように、入社式前に必要だったスーツを忘れてしまった。結局、東京にいた友人の家へ駆け込み、スーツを借りるという始末だ。どこまでもへっぽこで、どこまでもドンくさい。振り返れば、“へっぽこガイド”はこの時点ですでに完成していたのかもしれない。
それでも、そんな私を支えてくれる人たちがいたからこそ今の自分がある。その事実だけは、忘れてはいけない。新社会人のみなさんも、つまづくことはあるだろうが、必ず支えてくれる人がいるので、頼ってしまえばいいのだ。



