街中に普通に置いてあるバス停標識には、何のための設備かすぐに分かるよう「バス」など文字による説明書きを添えてあるものが多い。文字情報のほか、簡略化したバスのイラスト:ピクトグラムを掲示しているタイプも一般的だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWeb内本文上とギャラリーに、独立系ピクトグラム付きバス停標識の写真があります)
■規格品の中にそっと身を置く独立系ピクトグラム
最近はバリアフリー対応の関係で2000年代に提唱されはじめた、JIS規格によるバスのピクトグラムを案内表示に盛り込んだバス停標識が、全国的にも主流と言える。
JIS規格のピクトグラムは、真横を向いた箱型のバス車体に、前ドア1つと窓4つを組み合わせたデザインで、ひと目でバスだと分かるのが特徴だ。
その一方で、どうやら規格品ではなさそうな、独立系のバスのピクトグラムを用意しているバス会社もあり、多くの場合は恐らくJIS規格品が生まれる前から使われていた、ピクトグラムの先駆者的な立ち位置と思われる。
ここでは、2026年4月現在で、ここ3年くらいの間に各地で見かけた、現行のJIS規格品とは一味違う、独立系ピクトグラムの例を3つほど紹介しよう。
■西武バス系/国際興業のピクトグラム
東京・埼玉エリアに路線バス網を広げる西武バスと国際興業バス。同2社の一部にバス停標識に、独立系かな? と思って良さそうなデザインのピクトグラムが添えられている。
真横を向いているのはJIS規格品と同じながらも、西武バス/国際興業のものは車体が少し長めでドアの表現がなく、フロントガラス/リアガラスと、側窓が5つ並んでいる。
基本部分は西武バス/国際興業ともにほぼ共通な様子。ただし西武バスは右向き、国際興業バスは左向きに描かれ、西武バスのほうには横に2本のラインが入っており、それぞれに差異を持たせてあるところがコレクション欲をくすぐる。
■まさにここだけ!? 奈良交通のピクトグラム
続いては奈良県の主要バス事業者である奈良交通。奈良交通のバス停標識にも、独立系ピクトグラムが添えられているタイプがある。
こちらも真横アングルのシルエット型がベース。大型路線車を連想させる長さの箱型車体に、フロントガラスと側窓を6つ並べ、後部に行先表示器にも見える小窓が描かれている。
さらにフロントタイヤの前とリアタイヤの後ろにドアを配した、前後扉車風の表現がなされている点もなかなかユニークで、なんといっても奈良交通のシンボルである、鹿マークを車体中央に飾り付けているのが最大の特徴。
まさにここだけのバスのピクトグラムといった様相で、ご当地感抜群。奈良交通のエリアを訪れたならぜひ押さえておきたいところ。
■文化遺産に近い? 元・防長バスのピクトグラム
最後に紹介するのは山口県で見かけたバス停標識。元々は地元のバス会社である防長バス(防長交通)が使用していたバス停だったようだが、訪問した時点では既に撤退しており、後任のコミュニティバスの乗り場へと変わっていた。
ただしバス停の設備本体は防長バス時代から変わっていないようで、標識上部に取り付けられた円いプレートに注目すると、どこにも属さないローンウルフな図柄が描かれていた。
何とバスが斜め前(横8:前2くらい)を向いており、角度的にタイヤの表現は4つ。側窓が7つ並び、2枚折り戸だと分かる細かな表現のドアが前方に1つ付いている。車種的には1960〜70年代のキャブオーバー車のイメージか……
前面には行先表示器と急行灯のようなもの、丸目4灯ヘッドライト、昔の日野風エンブレムの表現まである超写実的なデザインとなっていて、ピクトグラムというよりも限りなくイラストに近い驚愕の仕上がり。
2カ所ほど同じピクトグラムの標識を見かけて、どちらもすっかり色褪せていたが、元々このバスのピクトグラムは緑色で描かれていたらしい。
最近の防長バスのバス停標識を見ると、標識上部の円いプレートにはカタカナで「バス」と縦書きされているものが標準タイプと言える。
となれば上記のリアルピクトグラム入りは、1960〜70年代のバス車両が現役だった時代の“標準タイプ”の標識が残っていた可能性が極めて高く、文化遺産級の珍品であるのは間違いなさそうだ。
こういった独立系ピクトグラムを見ると、ひと目でバス乗り場だと分かるのは同じながらも、今となってはJIS規格品とは異なる見た目に1〜2周回った新鮮味を覚える。
さらに少数派=プレミアムなムードも漂い、見つけて嬉しい・集めて充実なテーマに思える。気にかけておいて、訪れた場所に置いてあるバス停標識をチェックすると、バスに乗るのが一層楽しみになるかも!?
【画像ギャラリー】バスの独立系ピクトグラムコレクション(9枚)画像ギャラリー

















