SUVが完全に「スタンダード」な存在となった日本市場。各メーカーから多彩なSUVが登場していますが、多人数乗車に対応できるモデルとなると、選択肢は一気に限られてきます。
ミニバンであれば、比較的手頃なサイズと価格で3列シートを備えたモデルもありますが、SUVになると、ランドクルーザーやCX-80のように、ボディサイズも価格も大きなモデルが中心。日本の狭い道路環境でも扱いやすく、なおかつ一般的なファミリー層でも手が届きやすい「ちょうどいい多人数乗車可能なSUV」は、現在の国内メーカーのラインアップには存在しません。
ただ、海外には存在します。スズキが東南アジアを中心に展開するスズキ「XL7」です。全長約4.4mという、日本でも扱いやすいコンパクトなサイズ感でありながら3列シートを成立させたこのモデル。日本に導入されれば、意外とヒットするのではないでしょうか。
文:吉川賢一/写真:エムスリープロダクション、SUZUKI
【画像ギャラリー】スズキが東南アジアを中心に展開する3列シート7人乗りのコンパクトSUV「XL7」(17枚)画像ギャラリーヴェゼルやカローラクロスに近い「絶妙なサイズ感」
スズキ「XL7」は、スズキが東南アジアや中南米、インドを中心に展開している3列シート7人乗りのクロスオーバーSUVです。2020年に登場したモデルですが、スズキがインドで展開する高級車チャンネル「NEXA」では、2019年から「XL6」の名で販売されていました。
ボディサイズは、全長4,450mm×全幅1,775mm×全高1,710mm。日本でいうとホンダ「ヴェゼル」(4,340×1,790×1,580)やトヨタ「カローラクロス」(4,455×1,825×1,620)と近しいサイズ感。この限られた寸法の中に、2-3-2の3列シートを成立させている点が最大の特徴です。全高が高めなのは、最低地上高が200mmと高め(ヴェゼル:185mm、カローラクロス:160mm)であることに起因するもの。冠水路や荒れた舗装といった東南アジア特有の道路環境を想定したものですが、SUVらしい腰高なスタイルを強調することにも繋がっています。
現地での評価も極めて高く、タイでは2023年に「1500cc以下のベスト・ガソリンSUV」としてカー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、タイの自動車ジャーナリストからもその完成度が認められている実力派です。
3列目は「ギリ座れる」程度。ただ補助席と考えれば十分
筆者はバンコク国際モーターショー2026の会場で、このXL7の実車に触れてきました。外観は直線基調の力強いフロントマスクが印象的。ブラックアウトされたフェンダーアーチやシルバーのアンダーガードが、タフなSUVとしての個性を主張しています。
後席ドアはヒンジ式ながら開口部が大きく確保されており、乗降性にも配慮された設計となっています。スライドドアを持たない代わりに、SUVとしてのデザイン性と2列目の快適性を中心としたパッケージ効率を両立させた設計です。
インテリアは、9インチのセンターディスプレイを中心としたオーソドックスな構成で、操作系も含めて扱いやすさを重視したレイアウトです。3列目へのアクセスは、2列目シートを前方にスライドさせたうえでシートバックを前倒しし、その隙間から乗り込む方式です。
気になる3列目の居住性ですが、実際に3列目シートに座ってみると、膝まわりのスペースはコブシひとつぶん程度。決して広々とはしていませんが、頭上空間には一定のゆとりが確保されており、不快な圧迫感は抑えられています。長距離移動は厳しいものの、近距離の送迎などであれば大人でも十分に実用的です。



















