ホンダのVTECターボとマツダの直6ディーゼルターボ+MHEV……技術屋の執念が爆発した「令和エンジン」の咆哮を聴け!

ホンダのVTECターボとマツダの直6ディーゼルターボ+MHEV……技術屋の執念が爆発した「令和エンジン」の咆哮を聴け!

 2026年8月にレクサス LCが販売を終了する。同時に「平成の名機」2UR-GSEが姿を消すことになるが、ここでは、現在販売中の魅力あるクルマの数々に採用されるエンジン、「令和の名機」たちにスポットをあててご紹介しよう。

※本稿は2026年3月のものです
文:片岡英明/写真:トヨタ、レクサス、日産、ホンダ、マツダ、スバル、スズキ、三菱、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年4月26日号

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強烈な存在感を遺した令和の名機

クルマの進化の歴史は、同時にエンジンの進化の歴史でもある
クルマの進化の歴史は、同時にエンジンの進化の歴史でもある

 1963年5月、完成したばかりの鈴鹿サーキットで第1回日本グランプリが開催されている。これ以降、自動車メーカーは積極的に高性能車を開発したため、技術レベルは飛躍的に向上した。

 当時、多くのメーカーのエンジニアが力を入れたのはパワーユニットのポテンシャルアップだ。OHVエンジンが主流だったが、すぐにSOHCエンジンが登場した。2輪の世界グランプリに挑戦していたホンダだけは、レーシングエンジン直系のDOHCエンジンを開発し、この時代の量産モデルに搭載している。

 1960年代後半からは高性能化に拍車がかかった。高性能メカの象徴であるDOHCは4気筒に続いて直列6気筒も登場。ハコスカと呼ばれているGT-Rに搭載されるS20型は、レーシングエンジンと同じ4バルブ方式だ。

日本の自動車史に深くその名を刻んだハコスカ
日本の自動車史に深くその名を刻んだハコスカ

 1970年代まではDOHCというだけで羨望の的だったし、「名機」の称号も与えられている。マツダのロータリーエンジンも独特のパワーフィーリングがマニアのハートを射止めた。

 排ガス対策が一段落した1980年代は再びパワー競争の時代になる。キャブレターに代わって採用されたのが電子制御燃料噴射装置だ。排気量を変えることなく高性能化しやすい、過給器のターボとスーパーチャージャーも持てはやされ、名機の幅は広がっている。

 1980年代後半から1990年代前半はハイテクを駆使した高性能エンジンの絶頂期。最高出力の上限が280psに規制されるほど、パワー競争が激化した。

 1989年にはホンダが可変バルブタイミング&リフト機構を持つ高回転で切れ味鋭いDOHC・VTECエンジンを送り込む。トヨタは上質なパワーフィーリングのV型8気筒ハイメカツインカムを投入した。

 1990年代に注目されたのが小排気量マルチシリンダーだ。驚いたことに三菱は1.6LのV型6気筒エンジンを、マツダも1.8LのV6を送り出している。

平成後期から潮目が変わった

トヨタ GRヤリス(G16E-GTS)。直列3気筒DOHCターボ 1618cc 304ps/6500rpm 40.8kgm/3250-4600rpm
トヨタ GRヤリス(G16E-GTS)。直列3気筒DOHCターボ 1618cc 304ps/6500rpm 40.8kgm/3250-4600rpm

 だが、21世紀になって潮目が変わった。1990年代の大排気量ターボエンジンや設計の古い4気筒のスポーツエンジンは、厳しくなった燃費目標をクリアできず2002年夏に生産を打ち切っている。そこでダウンサイジングした過給器付きエンジンが注目を集め、名機の仲間入りを果たした。

 また、プリウスに搭載されてデビューしたモーターアシストのハイブリッド技術も地球に優しい次世代のパワーユニットとして脚光を浴びるようになる。高性能とは両極にあった燃費のいい環境エンジンが「名機」の価値観を大きく変えていったのである。

 クルマ好きをワクワクさせる名機の基準と定義は、時代とともに大きな変化を遂げてきた。2010年代からはバッテリーEVも台頭している。令和の時代になり、内燃機関の代表であるエンジンは風前の灯と言われるようになった。

 トヨタの5LV型8気筒NAの2UR-GSE型エンジンを搭載したレクサス LCは2026年夏に販売を終了する。スープラのB58型直列6気筒DOHCターボや、R35GT-RのVR38DETT型エンジンも消滅してしまった。クルマ好きがときめいた名機と呼べるエンジンは、次々に姿を消している。

 だが、ハードルが高くなればなるほど、エンジニアは燃え、難問をクリアしようと頑張るのだ。今だって令和の時代に生まれた魅力的な名機を手に入れることができるのである。

 令和の名機の筆頭に挙げられるのがGRヤリスやGRカローラなどに積まれている1.6LのG16E-GTS型直列3気筒DOHCターボだ。

 軽量ボディにパワフルなエンジンを組み合わせ、刺激的な加速を見せつける。3気筒特有の音色や低速トルクに物足りなさは残るが、レッドゾーンの7000回転まで一気に回る高性能ユニットだ。

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