クルマの運転に慣れているベテランドライバーほど、「昔からやっているから大丈夫」と思い込みがちだ。本企画では、多くのドライバーが無意識のうちにやってしまいがちな交通違反を5つピックアップ。ベテランドライバーこそ改めて確認しておきたいポイントを解説する。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、写真AC、Adobe Stock(トビラ写真/Adobe Stock@xiaosan)
サンキューハザード、サンキュークラクションは違反にはならない
ハザードランプの点滅が義務付けられているのは、夜間に道幅5.5m以上の道路に停車または駐車する時や、通園・通学バスが停車し、幼児や小学生が乗降している時だ。周囲に危険を知らせる役目として、クルマが故障した時や渋滞最後尾の車両などにも使用されている。
また、合流の際に譲ってくれたクルマに対し、ハザードを2~3回点滅して感謝の気持ちを伝える「サンキューハザード」や、軽くクラクションを鳴らす「サンキュークラクション」が広く行われている。しかし、これらの行為はハザードランプや警音器の本来の使用目的とは異なる。
では、お礼を伝える手段として定着しているサンキューハザードやサンキュークラクションは、法律違反にあたるのだろうか。
道路交通法第53条の合図に関する規定には、「非常時以外にハザードランプを使用してはならない」という条文は存在しない。そのため、サンキューハザードそのものが直ちに違法となるわけではない。
ただし、サンキューハザードについては「感謝を伝えるマナー」と肯定的に受け止める人がいる一方で、「非常時以外に使うべきではない」と考える人もおり、評価が分かれる部分でもある。
なお、クラクションについては使用状況によって違反と判断される場合がある。
■警音器義務違反:違反点数1点、反則金6000円(普通車)
■警音器使用制限違反:違反点数なし、反則金3000円(普通車)
信号待ち時のヘッドライト消灯「思いやり消灯」はNG
道路交通法の改正により、新型車は2020年4月から、継続生産車は2021年10月からオートライトの装着が義務化された。これは17~19時の薄暮時間帯に交通事故が多発していることを背景としている。
この改正は、ドライバーごとの感覚に頼った曖昧な点灯タイミングを排除するための施策だ。しかし、オートライトに完全に依存するのは危険でもある。照度センサーの性能には差があり、周囲が暗くなっても点灯が遅れるケースがあるからだ。
そのため、点灯タイミングが適切でないと感じた場合は、ドライバー自身が手動で操作する意識も必要となる。不安があれば販売店で点灯タイミングの調整を相談したい。
また、オートライト非搭載車に乗っているドライバーは無灯火に十分注意したい。無灯火は違反点数1点、普通車では反則金6000円が科される。
かつて一般的だった、停車中にヘッドライトを消灯する「思いやり消灯」についても、現在の交通環境では慎重な対応が求められる。
■無灯火違反:違反点数1点、反則金6000円
ハイビームが基本 ロービームだと切符を切られる?
2017年3月の改正道路交通法施行により、夜間走行時のヘッドライトは原則としてハイビームを使用し、対向車や先行車がいる場合にロービームへ切り替えることが改めて周知された。
法律上、ハイビームは「走行用前照灯」、ロービームは「すれ違い用前照灯」と位置付けられている。実はこの考え方自体は改正前から変わっていない。
道路運送車両法の保安基準では、ロービームは約40m先、ハイビームは約100m先を照らす性能を持つと定められている。
道路交通法第52条では、夜間走行時は前照灯などを点灯しなければならないと定められており、対向車や先行車の交通を妨げる恐れがある場合には減光など適切な操作を行うことも義務付けられている。
つまり、夜間走行時は状況に応じてハイビームとロービームを適切に使い分けることが求められているというわけだ。
警察庁はハイビームの積極活用を推奨しているが、一方で対向車や先行車がいる状況ではロービームへ切り替える必要がある。
実際、都市部では対向車や先行車が存在しない状況は深夜を除けばほとんどない。そのため市街地ではロービームを基本とし、街灯の少ない道路や見通しの悪い場所ではハイビームを活用するのが現実的な使い方といえる。
交通教則によれば、ロービームの照射距離は約40m、ハイビームは約100m。夜間にハイビームを使用することで、歩行者や自転車をより早く発見できる効果がある。
一方で、対向車や先行車がいるにもかかわらずハイビームのまま走行した場合、「減光等義務違反」となる可能性がある。
過去に警視庁へ確認した際には、「東京都内の市街地では夜間でも明るく、ハイビームは対向車の妨げになる場合があるため、状況に応じた使用が重要」との回答だった。
いずれにしても、対向車や先行車、歩行者、自転車にまぶしさを与えないよう配慮しながら運転することが重要だ。
■減光等義務違反:違反点数1点、反則金6000円




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