そのデビュー時から紹介しているトルコ製の電気バス、カルサンe-JEST。コンパクトなボディとパッケージングは、数あるバスの中でも独特なタイプといえる孤高の存在だ。千葉県の南房総市が導入することが発表され、その納車式が行われた。
(記事の内容は、2025年12月現在のものです)
執筆・写真/バスマガジン編集部 取材協力/アルテック
※2025年12月発売《バスマガジンvol.131》『トルコからの使者っ!!』より
■シャープなラインのボディは存在感溢れる姿をしている!!
南房総市という名称から何やら“千葉県の南の方で暖かそう”といった印象だったが、それより強く感じたのは高速道路やアクアラインを使って、クルマだと首都圏からほぼ1本で行ける、というアクセスの良さだった。
高速道路を下りると道の駅やそれに似た道路施設が並び、何とも寄り道せずには居られない街並を抜けてすぐのところに市役所はあった。
納車式が行われる広い駐車場の1スペースに置かれたe-JESTは、小ぶりなサイズながら不思議と目立っており、到着するとすぐにわかった。目立つというより、存在感があるといった感じだろうか、シャープなクリスタルカットのシェイプは、すでに見慣れているはずの者にとっても、光を放つ姿だった。
時刻になると関係諸氏や報道陣が集まり、式典開始となった。市長の挨拶に続き、キーの引き渡し、記念撮影会と続く。決して長い時間ではなかったが、この場にいる人のすべてから、“早くe-JESTに乗ってみたい、触ってみたい”とウズウズしている空気が伝わってくる。
すでに全国各地で見ることができる電気バスだが、自分の地元で生活の一部になるとなれば、これはどうしたってスペシャルな事件なのだ。
プログラムが試乗タイムとなり、開口部の広いアウタースライドの1枚扉がスーッと開くとまだ素材の匂いがする車内へ、参加者たちは乗り込む。すぐに車内を見回して「へぇ〜」という感嘆の声が漏れてくる。
e-JESTはトルコ製の電気バスということもあり、日本で多く走っている中国製の電気バスとは、赴きというかムードやオーラが異なり、エキゾチック感ならダントツのバスといえよう。
■2025年の酷暑を受けて設定された超スペシャル装備!?
市長の挨拶では、南房総市を少しずつでもカーボンフリー化させていきたい、と述べられ、それには公用車も含めてEVもハイブリッド車も積極的に導入、暮らしやすい地域をつくっていく、という構想の一貫とのこと。
そしてこのe-JESTは、南房総市のコミュニティバスという存在でありながら、何と白ナンバー。自家用の登録なのだ。
運転・運行は日東交通が行うことになっているが、今では少なくなった自家用有償運行のスタイルになる。ただし、自家用といっても路線バスと同じ役割を担うので、事業用と同様に、行き先表示器、降車ボタン、運賃箱といったものは装着されていた。
そしてさらに、近年各地で大きな問題となっている、終業時の乗客置き去り事件。こういった重大なヒューマンエラーにも対応するため、シンプル装備の同車であるものの、置き去り防止システムはすでに装着されていた。
扉前すぐの位置に付けられた運賃ボックスはシンプルな透明のものだったが、以後、PayPayも使えるようになる予定だ。
そして今回の南房総市コミュニティバスに限らず、e-JESTすべてにおけるニュースがひとつある。それは「追加エアコン」だ。いままでのe-JESTにはなかった、ルーフ前方の出っ張りがそのユニットで、存在感はあるがフォルムに溶け込んでいる、というのが正直な感想。
ここ数年の酷暑と言われる夏の暑さ、標準設定のエアコンだけでは涼感を得られにくいのでは、ということで急遽取り付けられることになったという、何ともステキな“後付けパーツ”なのだ。
ルーフのほぼ最前部に取り付けられ、1ボディユニットなので車内の天井には送風口と操作スイッチがある。実にわかりやすいユニットで、ドイツに本拠地を置くエバスペヒャー社製だ。
試乗タイムでは、コミュニティバスとして走るルートの一部を、関係者を乗せて走行。相変わらず、ストレスの無い発進・加速力、スル〜っとトレースするハンドリングと静かなブレーキなど、上質で安全確実なe-JESTの挙動は健在だった。この南房総市でも人気者になること間違いないだろう。
【画像ギャラリー】猛暑対策の「追加エアコン」が嬉しい!! 快適車内とスムーズな発進&加速がウリのカルサン e-JEST(12枚)画像ギャラリー













