日産「プリメーラ」がEVで復活!! いま振り返る“FFハンドリングの教科書”P10の衝撃

日産「プリメーラ」がEVで復活!! いま振り返る“FFハンドリングの教科書”P10の衝撃

 2026年6月4日、フィリピン国際モーターショーにおいて、日産は新型セダン「プリメーラEV」を公開しました。中国発のグローバル戦略車として登場したモデルですが、「プリメーラ」の名に懐かしさを覚えた人は少なくなかったでしょう。

 1990年2月に登場した初代P10型プリメーラは、欧州市場での競争を見据えて開発された日産の意欲作であり、国産FFセダンの価値観を大きく変えた一台でもありました。「プリメーラ」の名の復活を機に、その魅力をあらためて振り返ります。

文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:NISSAN

【画像ギャラリー】“FFハンドリングの教科書”とよばれ、欧州でも高く評価された 日産初代「プリメーラ」(11枚)画像ギャラリー

901運動が生んだ、日産渾身の欧州戦略車

 初代P10型プリメーラは1990年2月に登場しました。若々しくスポーティなキャラクターによって欧州で3代目が大ヒットした「オースター(欧州名ブルーバード)」の実質的な後継モデルであり、欧州市場で高く評価された基本性能と信頼性を受け継いだ世界戦略車です。

 初代プリメーラが開発された1980年代は、日産が「1990年までに技術で世界一を目指す」という社内目標、いわゆる「901運動」を推進していた時代。

 利益よりも走りを優先し、世界トップレベルの商品力を追求したこの取り組みからは、ポルシェ911ターボのラップタイムを上回り、レースで29連勝という伝説を築いたR32型スカイラインGT-Rや、「スポーツカーの理想形」を追求したZ32型フェアレディZ、さらにFRクーペにリヤ・マルチリンクサスペンションを採用し、デートカーと本格的なハンドリング性能を両立したS13型シルビアなど、数々の名車が誕生しており、そうした901運動の思想を、FF実用車というカテゴリーで体現したモデルが初代プリメーラでした。

 スタイリング、動的性能、パッケージングのすべてで欧州市場を強く意識し、当時FF車のベンチマークとして高い評価を受けていたフォルクスワーゲンのゴルフやメルセデス・ベンツ190、BMW3シリーズ、アウディ80などがひしめく欧州のミドルクラスセダン市場へ真正面から挑みました。

 車名の「プリメーラ」は、スペイン語で「一級品」や「最高」を意味します。その名には、欧州メーカーがひしめく市場で真っ向から勝負するという、開発陣の強い決意が込められていました。

初代P10型プリメーラ。キャビンをやや高めに設計することで、実用性に優れたパッケージングを実現した
初代P10型プリメーラ。キャビンをやや高めに設計することで、実用性に優れたパッケージングを実現した
初代プリメーラは、フロントに新開発のマルチリンクサスペンション、リアにはパラレルリンクストラットのサスペンションを搭載した
初代プリメーラは、フロントに新開発のマルチリンクサスペンション、リアにはパラレルリンクストラットのサスペンションを搭載した

FFセダンの常識を変えた足回りと実用性

 初代プリメーラを語るうえで欠かせないのが、足回りです。フロントには新開発のマルチリンクサスペンションを採用し、リアにはパラレルリンクストラットを組み合わせることで、操縦安定性と乗り心地という、本来は両立が難しい要素を高い次元でまとめ上げました。コストや重量の面で不利とされるこの機構を量販ミドルセダンへ惜しみなく投入した点に、当時の日産の強いこだわりがうかがえます。

 実用性にも抜かりがありませんでした。全長4400mm×全幅1695mm×全高1385mm、ホイールベース2550mmというコンパクトな5ナンバーサイズでありながら、欧州流の効率的なパッケージングと高めの全高によって広いキャビンと大容量トランクを実現。このレイアウトは「プリメーラ・パッケージ」とよばれ、コンパクトなボディで広い室内空間を確保した設計として高い評価を受けました。

 搭載されたエンジンは、2.0L直列4気筒DOHCのSR20DE。最高出力150ps、最大トルク19.0kgmを発生し、高回転まで気持ちよく回る特性と日常域での扱いやすさを兼ね備え、プリメーラのスポーティなキャラクターを支えました。廉価グレードには1.8LのSR18系エンジンも設定されました。

インテリアもシンプルな構成。過度なスポーティさや高級感を前面に出さないことで、初代プリメーラらしい機能的な個性を際立たせていた
インテリアもシンプルな構成。過度なスポーティさや高級感を前面に出さないことで、初代プリメーラらしい機能的な個性を際立たせていた

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