日々我々が走っている道路には、その裏で安全を支えている仕事が多くある。東京の大都会を駆け巡る首都高を支える仕事人に迫る本企画。
第二弾は交通管制室で働く管制員を密着取材。
文:WEB編集部/写真:平野学
じつは45年前からあった交通管制室
「こちら高速箱崎。1件落下物回収願います」、「11号下りで故障車です」、「高速226から高速箱崎、落下物回収しました」。
——飛び交うやりとり。せわしなく働く管制員のデスクの先には、首都高全域の渋滞や事故・故障車等の情報が表示される大画面。両サイドのモニターには、20にも及ぶ首都高各地点のリアルタイム映像が常時流されている。
ここは、首都高の交通情報を司る3つの交通管制室のうちのひとつだ。
前回、密着した首都高パトロール隊からの情報が集約され、同時に事故や落下物が発生した際、彼らに出動を要請するのも、この交通管制室だ。
■『1日70件超の落下物捌く』 首都高 パトロール隊に潜入!! 【道路を支えるプロの仕事】
交通管制センターの歴史は古く、その端緒は1970年に導入された第一次交通管制システム(東京西地区)まで遡る。今からざっと45年以上前の話だ。
それからシステムの更新を経て、2009年には別々だった東京西地区・東地区のシステムを統合した新システムが導入。
さらに2013年には神奈川地区のシステムも併せて、首都高全体でひとつに統合された新システムが導入され、今に至る。
パトロール隊から転属 交通管制室で勤続9年目
「入社当初は、パトロール車両に乗り、現場に出ていたんですよ」
にこやかな笑顔とともに語りかけてくれたのは今屋聡さん。首都高関連の仕事をしている知人に話を聞き、車好きだったことも手伝って、この仕事を始めたという。
今屋さんは現場で10年勤務し、管制室での勤務は今年で9年目というベテラン。取材時に担当していたのは『非電担当』だった。
管制の仕事もパトロール隊と同じく、日勤と夜勤の2交代制。いっけん、同じように見える管制室の仕事は、3つに分業されている。
人に着目して管制室の写真をみてみよう。モニターに沿って緩くアーチしたデスクは、大きく3つに分けられる。
「真ん中の2人が無線で指示する『無線担当』。彼らがパトロール隊と情報交換をします」
「(左が)非常電話やお客様センター、外線等から集まってくる情報を受ける『非電担当』、右の2人が管制機器を操作する『管制担当』。事故などが起きた時に情報板に情報を反映させる操作をする担当です」
管制室では、このように3つの職種に振り分け、それぞれ連携して業務をおこなう。
情報を『集める』だけでなく、その情報を『提供する』という任務も担っているのだ。今屋さんはその難しさを明かす。
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