ヤマハのスポーツネイキッド「MT-07」をベースとして、2022年に国内に初登場した「YZF-R7」。スポーツ性能と環境性能を高いレベルで両立させるヤマハ独自の「クロスプレーン・コンセプト」で開発された2気筒エンジン「CP2」を搭載した、幅広いレベルのライダーが楽しめるスーパースポーツだ。そのYZF-R7が多数の電子制御デバイス、新フレーム、新スイングアームなどを採用して初のモデルチェンジ! その進化を実走インプレッションで紹介。
ビッグチェンジで楽しみ方の幅が大きく広がった
「YZF-R1」を筆頭とした「Rシリーズ」らしいスポーティな走りを、688cc並列2気筒エンジンCP2で実現しているYZF-R7。2022年の発売から毎年カラーチェンジを経てきたが、2026年に初のモデルチェンジが行なわれた。
CP2は吸気ダクト形状、不等長ファンネルのバランス最適化に留まっているが、「YCC-T(Yamaha Chip Controlled Throttle=ヤマハ電子制御スロットル)」を新たに採用したことで、エンジン特性や電子制御デバイスの介入度を選択できる「YRC(Yamaha Ride Control)」との連動を実現。路面状況やライダーの好みに合わせた走行性能を選択できるようになった。そうしたエンジン特性やトラクションコントロールなどの各種設定は、新たに装備された5インチフルカラーディスプレイに表示され、専用アプリ「Y-Connect(Yamaha Motorcycle Connect)」と連携することでスマホ側でも操作ができ、通話やメールの着信などはディスプレイに表示される。さらに「Y-TRAC Rev」をスマホにインストールすると、ラップタイムやピットクルーからの指示もディスプレイに表示可能となる。また無料のナビアプリ「Garmin StreetCross 」をインストールすると、ディスプレイをナビ画面として使用できるなど、機能性と利便性が大きく向上している。
バックボーン型高張力鋼管フレームはパイプワーク、パイプ径/肉厚などを最適化し、ねじれ・縦・横の各剛性を向上。左右非対称形状のスイングアームもデザインを一新し、リヤサスペンションリンクも見直して安定性と接地感が高められた。前後ホイールは軽量なスピンフォージドホイールを採用し、フロントサスペンションのセッティングも変更。アクスルブラケットの締結部剛性の最適化や新形状ハンドルクラウンによる軽量化もあって、軽快なハンドリングと直進安定性の両立に貢献している。また、ハンドル位置も従来モデルから3.6mm上方/8.4mm後方へ移設し、燃料タンク形状も変更することでライディングポジションの自由度を拡大。シート高も5mm下がり、830mmとなった。
ヘッドランプは「M字ダクト」の意匠を受け継ぎつつ、ポジションランプと合わせて新デザインを採用。M字ダクト表面をレンズで平滑化することで空力性能が向上している。さらに、シフトアップ&ダウンに対応した第3世代クイックシフター、クルーズコントロール、「YVSL(Yamaha variable speed limiter)」なども装備。街乗りやツーリングでの利便性や快適性を向上し、サーキット走行やレースでの扱いやすさも身に着け、さまざまな場面でライディングをより楽しめる仕上がりとなっている。新規フレーム、前後新作サスペション、電子制御デバイスなど装備を大幅に充実したこともあって、車体価格は105万4900円から116万6000円(70周年記念は125万4000円)になった。

全体的なフォルムは従来モデルを引き継いでいるが、フレームやサスペンションを見直し、多数の電子制御デバイスを搭載して装備内容は大きく刷新されている。カラーは画像のブラックの他に、ブルーと200台限定のホワイト(70周年記念カラー)を設定。

Y-Connectと連携すると、通話やメールの着信がメーターに表示される。スマホ側には自車の最終駐車位置の表示や、ライディングログの保存もできる。
YZF-R7の足着き性をチェック
YRCが操る楽しさをサポートする
従来モデルと比較すると、車体は全幅+20mm、車重+1kg、最高出力73PS/8750rpmは不変だが、最大トルクは6.8→6.9kgf・m/6500rpmへと微増している。ただし、押し引きや取りまわしでは車重増は感じられず、トルクの差も体感できなかったのが本音だ。
車体姿勢を検知する6軸IMU(Inertial Measurement Unit)と連動するYRC(Yamaha Ride Control)は、エンジン特性をSPORT/STREET/RAIN/CUSTOMの4モードから選択でき、車体制御はスロットルレスポンスを変化するPWR(パワーデリバリーモード)、後輪の駆動力を効率よく引き出すTCS(トラクションコントロールシステム)、後輪の横滑りを抑制するSCS(スライドコントロールシステム)、加速時の前輪の浮き上がりを抑制するLIF(リフトコントロールシステム)、加減速時の変速をサポートするQS(クイックシフター)、バンク中の横滑りをブレーキ圧力で制御するBC(ブレーキコントロール)、エンジンブレーキの強さを制御するEBM(エンジンブレーキマネージメント)。サーキットですばやい発進・加速をサポートするLCS(ローンチコントロール)、過剰なエンジンブレーキから後輪のロックを制御するBSR(バックスリップレギュレータ)、リヤブレーキのABSをキャンセルできるリアABS OFF、スロットル操作せずに一定速度で巡航できるクルーズコントロールシステム、制限速度を設定できるYVSL(ヤマハバリアブルスピードリミッター)、これらのレベルや介入度をライダーの好みに合わせて調整できる。

CUSTOMモードでPWRなどの設定を変更する場合は、メーター内で変更する。Y-Connectと連携するとスマホでもセッティングの確認・変更ができ、最大40パターンの保存が可能。
アイドリングは1400rpmほどで、トルクは各モードともに2500rpmくらいから立ち上がってくる。従来モデルはそこから6000rpmまで、スロットル開度とエンジンのレスポンスがリニアで、トルクが増すのと加速のスムーズな伸びが連動し、マシンコントロールのしやすさとスポーティな走りの楽しさを存分に体感できた。
新型が異なるのはその部分で、SPORTはスロットル操作へのレスポンスがシャープになり、全域でトルクを太く感じる。エンジンの回転上昇も早くなる。STREETはレスポンスがシャープすぎずダルさもなく、全域で充分なトルクが出てくる。マシン挙動がギクシャクしにくく、扱いやすさを重視した特性になる。RAINはレスポンスがマイルドで、回転上昇もゆっくりになる。マシン挙動がマッタリして安定志向の乗り味となる。今回は試乗中に降雨があり、路面が濡れ始めた滑りやすい状態でRAINに設定したが、後輪のグリップ力がトルクよりも勝っているように感じられ、スリップしそうな挙動が抑えられて非常に乗りやすくなったのを体感できた。
個人的にはSTREETが好印象だった。3000~4000rpmで厚みのあるトルクが発生し、交通の流れをリードできる加速力を発揮する。それでいてレスポンスがシャープすぎないのでマシン挙動もギクシャクせず、乗り心地も快適。従来モデルにあった扱いやすさとマシンコントロールする楽しさの共存が、しっかりと受け継がれていると思えたからだ。
Rシリーズらしさが鮮明になり、利便性も大きく向上
ハンドルグリップ位置が高く、身体に近くなり、上体の前傾具合も少し緩くなったように感じた。それでもフロントに荷重はしっかりかかり、Uターンなど低速域での切り返しではハンドル操作の重さはあるが、速度域が上がっていっても接地感は分かりやすく、ハンドリングもしっとり落ち着いていてコーナリングも楽しい。シート高5mmダウンの違いは体感できなかったが、従来モデルよりもヒザの窮屈さを感じにくく、前傾姿勢のキツさが減ったように感じたのは、タンクカバー形状の変更によるライディングポジション自由度の高さの効果だろう。
新セッティングとなった前後サスペンションは市街地でもスムーズにストロークしているのが分かる。状態のいい舗装路では柔らかさも感じる乗り心地のよさで、荒れた路面やギャップ通過時に受けた衝撃はしっかりと受け止め、身体に伝わる衝撃のカドを取ってくれる。マシン挙動がすばやく安定し、ライダーの負担を軽減してくれる。今回、高速走行はできなかったが、この乗り心地のよさ、カウルの防風効果、クルーズコントロール、低回転や低速域からスムーズに変速できるクイックシフターといった新機能の恩恵で、高速巡航を含めたツーリングもより快適に行なえるはず。
従来モデルは、エンジン特性の変更やトラクションコントロールといった電子制御デバイスが皆無で、ライダーがCP2のポテンシャルを引き出すことで、マシンコントロールする楽しさも深まっていく、往年のピュアスポーツ的な乗り味だった。一方、新型はCP2のエンジン特性を3つのモードに際立たせ、さらに自分好みのセッティングも可能とすることで、ライダーが扱いやすさや乗りやすさをより体感しやすいようになった。そうしたエンジン特性や各種電子制御デバイスの変更システムはYZF-R9と同様で、排気量によるパワーとトルクの差はあるものの、サーキット走行やレースにも対応したスポーティな走りや、乗り味の変化の傾向はYZF-R9に似ていると思えた。さらに、メーターにナビゲーション表示ができたり、クイックシフターが標準装備となったりと街乗りやツーリングでの利便性も向上している。
CP2本来の扱いやすいエンジン特性は変わらず、その扱いやすさを誰もが体感しやすいように電子制御デバイスがアシストするのが、最新YZF-R7だ。車両価格は上がってしまったが、それ以上に機能性と利便性は向上していて、これぞ正常進化だと思った。
2026年型ヤマハYZF-R7主要諸元
・全長×全幅×全高:2070×725×1160mm
・ホイールベース:1395mm
・車重:189kg
・エンジン:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒688cc
・最高出力:54kW(73PS)/8750rpm
・最大トルク:68N・m(6.9kgf・m)/6500rpm
・燃料タンク容量:13L
・変速機:6速リターン
・ブレーキ:F=ダブルディスク、R=シングルディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:116万6000円
詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/motorcycle/570324/
【試乗】YZF-R7が電子制御を満載し、多機能で走りをアシスト!!これが最新の正常進化だ【画像ギャラリー】
https://news.webike.net/gallery3/570324/570416/




























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