意外と知られていないが、新型マツダCX-5は国内販売のマツダ車として初めて「E10燃料」に対応した。いまのレギュラーガソリンも使えるのに、なぜわざわざ新燃料へ備えたのか? その背景には、2030年代を見据えた日本の燃料事情があった!
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】モニターで全部できるんです!! 音声認識機能も抜群のCX-5内装を一挙に(6枚)画像ギャラリーE10はバイオエタノールを10%混ぜたガソリン!
E10とは、ガソリンにエタノールを体積比で10%混合した燃料のこと。エタノールには、サトウキビやトウモロコシなどから作るバイオエタノールが用いられる。
植物は成長する際に大気中のCO2を吸収するため、燃焼時にCO2を排出しても、大気中のCO2を増やしにくいと考えられている。製造や輸送を含めれば排出量が完全にゼロになるわけではないが、石油由来のガソリン使用量を減らせる低炭素燃料なのだ。
ただし、エタノールは通常のガソリンより金属を腐食させたり、ゴムや樹脂を劣化させたりしやすい。蒸発ガスの性質も変わるため、燃料タンク、配管、シール材、蒸発ガス抑制装置などを対応させる必要がある。
E10対応ではないクルマへ勝手に給油するのは厳禁。国土交通省によれば、最悪の場合は燃料漏れや車両火災につながるおそれもある。一方、新型CX-5はこれらの対策を施し、E10を安全に使用できるようにした。
もちろんE10専用車ではない。新型CX-5の指定燃料は無鉛レギュラーガソリンなので、現在はいつものガソリンスタンドで普通に給油すればOKだ。
2030年度のE10供給開始を見据えた先回り対応!
新型CX-5がいち早くE10へ対応した最大の理由は、日本でも導入が現実味を帯びてきたからだ。政府は2028年度に沖縄でE10を先行導入し、2030年度から最大10%のバイオエタノールを含む低炭素ガソリンの供給開始を目指している。
2026年に購入したCX-5なら、2030年を迎えても現役バリバリの可能性が高い。燃料が切り替わってから対応するのでは遅い。モデルチェンジのタイミングで、燃料系を将来仕様へ改めておくのが合理的というわけだ。
欧米などではE10がすでに広く使われている。世界で販売する基幹SUVのCX-5だからこそ、各地域の燃料事情に対応しやすい仕様へ統一する狙いもあるはずだ。
弱点もあり、エタノールはガソリンより発熱量が低い。国土交通省は、E10使用時には通常のガソリンより燃料使用量が3%程度増えると説明している。それでも石油依存とCO2排出を減らせる利点は大きい。
E10対応で新型CX-5が速くなったり、現在の燃費が向上したりするわけではない。しかし、長く乗るクルマだからこそ、未来の燃料を選べることには意味がある。地味ながら、新型CX-5の“長く使える度”を高める先回りの進化なのだ。
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