日産の経営危機が報道された時、一部で「日産には日本で売れるクルマがない」などと囁かれた。しかし、2026年6月に登場した新型日産 キックスを味わえば、もうそんなことは言えないだろう。キックスがあなたの購入意欲をキックする!!
※本稿は2026年7月のものです
文:松田秀士/写真:茂呂幸正
初出:『ベストカー』2026年8月26日号
5-in-1の第3世代e-POWERを搭載
電動ユニット(モーター、インバーター、発電機、減速機、増速機)をひとつにパッケージして5-in-1とした第3世代e-POWERを搭載している。
可能な限りエンジンをかけず、市街地ではエンジン回転を約400rpm下げて静粛性も確保。走行状況での要求トルクにベストなエンジン発電回転域と燃費をより効率化している。
その3気筒エンジンはロングストローク化されたことで1.2L→1.4Lに拡大。発電特化型エンジンとしての効率特性を高めたものだ。
アンダーカバーを広げ、車体底面の空気を整流するなど空力面の進化も大きく、全体で燃費を11%向上させている。具体的な数値では、WLTCモード燃費で旧型の23.0km/Lに対して、新型では25.7km/Lと、ホンダ ヴェゼルe:HEVを凌ぐほどに進化している。
また、4WDモデルは、すべてフルタイム4WDのe-4ORCEとなった。
さっそくe-4ORCEの実力をチェック!!
試乗の始まりはこのe-4ORCEモデルから。最近の日産っぽさを全面に押し出したスポーティなフォルム。
インテリアも日産車の定番ともいえる12.3インチのデュアルディスプレイを採用。センターディスプレイ前には手を置けるテーブルのような張り出しがあり、正確で素早い画面操作が可能だった。
ダッシュボードが完全水平なので、流行りのスマホアクセサリーなども設置しやすそう。全幅がプラス40mmの1800mmに広がり、見切りを心配したが、水平ダッシュに加え、ボンネットの左右が少し盛り上がっているので車幅感覚はつかみやすい。
なによりもカップルディスタンスが広がったことで開放感のあるコックピットだ。
駐車時などの極低速時には極端にステアリングが軽くなり、ストレスなくハンドル操作ができる。それでいて中高速域ではしっかりと落ち着いたハンドリング。よくできていると感じたが、e-4ORCEでは直進時のニュートラル域の甘さが若干気になった。
第3世代e-POWERについては、低中速のパワーの出方が非常にスムーズ。さらに特筆すべき進化は、エンジンが始動したことを感じさせない点だ。走りも静粛性もよりBEVライクな質感の高いものになった。乗れば、第2世代との違いをはっきりと感じられる。
FFも侮れない!! 異なるキャラクター性がイイ!!
FFモデルは軽量ゆえにハンドリングはクイックで心地いい。e-4ORCEとのキャラクター分けができている。
新型のプラットフォームは、オーラなどと共通のCMF-Bで剛性アップされているのと、ダンパーに径の大きいものを採用して、SUVらしい安定感を出しながら、突起物などによる速い突き上げはいなす方向の味付けなので19インチながらFFの乗り心地も合格点だ。
新型ではこれまでになかったブレーキ時の回生協調が行われ、これが燃費面での進化のひとつだ。eペダルの設定はないのだが、Bレンジを選択した場合に回生が最強となり、スタンダード以外の各ドライブモードでeペダルになる。
新型キックスは右肩上がりの販売台数を誇るコンパクトSUVクラスで、台風の目になるかもしれない。
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