人手不足はバス業界だけではない。バス業界は人手不足から減便や廃止となるが、人手不足でも業務を減らせない業界も多くあるのだ。
(記事の内容は、2026年3月現在のものです)
執筆・写真/谷川一巳
※2026年3月発売《バスマガジンvol.132》『バスにまつわる愉快だけどマジな話』より
■筆者自宅周辺でもバス大減便
運転手不足などから、バス業界は経営が徐々に厳しくなっている。大阪では金剛バスが事業を廃止したのは記憶に新しいところだが、筆者自宅周辺でも路線バス(国際興業)が大減便で、1日6本しか走らなくなった。
筆者は主に最寄り鉄道駅まで自転車を利用、雨天時はこのバスを利用していたが、あまりの大減便で実質的にはバスは役立たなくなった。
テレビでも吉祥寺でのバス大減便などが話題に。これでは鉄道駅から遠い不動産物件などは価値が下がってしまう。「都会ではクルマは不要」は過去のことになるかもしれない。
稼ぎ頭の長距離路線を休止せざるを得ないという例もあり、富山地方鉄道の東京行きは、運転手不足で休止となっている。少ない運転手を地域の路線バスに充てるということで、地方のバス会社は「地域優先」なのであろう。
苦渋の選択で、利益が大きいはずの長距離路線を休止して地域の足を確保するというのは頭が下がる思いだ。
■事業者統合が進む
経営合理化のために組織のスリム化も行われていて、今まで京成バス系列だった、ちばグリーンバス、ちばフラワーバス、ちばレインボーバスなどは京成バスの各営業所となり、すっきりさせた。
京成バス系列の各社は分社したものが元に戻ったような感覚であるが、まったく別だったバス事業者が統合される例も現れた。
福島県の福島交通と会津乗合自動車は別事業者であったが、近年両者ともに「みちのりホールディングス」傘下になっていて、2026年に統合されることになった。今後も全国的にバス事業者の統合が続くかもしれない。
■人手不足で減便のバス業界は恵まれている!?
那覇を運行している東京バス(東京バスが那覇でも路線バスを運行)がフィリピン人運転手を採用、日本初の外国人路線バス運転手となった。今までも旅館の送迎バスやロープウェイ係員などでは外国人をよく目にしたが、遂に外国人路線バス運転手誕生となった。
「海外ではそんなの当たり前」、あるいは「低賃金でも働いてくれる外国人採用は安易」など賛否はあろうが、日本人が減少しているのだから、日本人だけに頼るなら減便や廃止、便数などを維持するなら外国人採用の選択となろう。
低賃金も運転手不足の理由となっているが、賃金を上げれば運転手不足は解消するのか? 精査も必要になるだろう。
現在の賃金では、家庭を持って子供2人を育てるのはとても無理といわれるが、賃金を上げるためには、運賃がかなりの値上げとなるだろうが、それは利用者減少につながらないのか? かといってバスを低価格の中国製などに置き換えると、それはそれで反発を招きそうで、難しい舵取りとなるだろう。
介護業界は、外国人なくしては成り立たなくなった。筆者の両親は数年前に他界したが、晩年は介護施設のお世話になった。訪問介護はネパール人、施設の部屋係はフィリピン人、食事係はパキスタン人のお世話になった。
高知県では就労者に占める外国人割合が日本一だそうだが、理由は漁業が外国人に頼っているからという。バス業界も今後急速に外国人運転手の割合が大きくなるのかもしれない。
ところで、先日忘年会で人手不足が話題になった。すると「バス業界はいいよね。運転手不足なら減便や休止にすればいいから」という発言があった。
その人の職業は学校の先生で、教員不足から業務が多忙、さらにモンスター・ペアレント対応も大変だという。かといって義務教育の生徒の入学を断れるはずもない。「なるほど」と感じたのである。
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