車検証に記載された「乗車定員5名」という数字は、実は大人の場合の話にすぎない。12歳未満の子供が乗る場合、この定員は法律上まったく別の計算になる。知っているようで知らない、乗車定員の数え方のカラクリを解説していこう。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(メイン画像=wheeljack)
【画像ギャラリー】5人乗りなのに「7人乗車OK」ってマジ!? 意外と知らない子供の乗車定員ルール(6枚)画像ギャラリー車検証の「乗車定員」は12歳以上を前提にした数字
道路運送車両の保安基準第53条には、次のような規定がある。「乗車定員は、十二歳以上の者の数をもつて表すものとする。十二歳以上の者一人は、十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする」。つまり、車検証に書かれている「乗車定員5名」という数字は、あくまで12歳以上の人が乗る場合を想定した数字なのだ。
そしてこの条文が示す換算比率がポイントになる。12歳以上の1人は、12歳未満の子供1.5人分に相当する、というのが法律上のルールだ。子供は大人の半分(0.5人分)と誤解している人が多いが、実際には大人1人=子供1.5人という換算になる。この違いを知らないと、乗車定員オーバーなんてことにもなりかねない。
計算式は「(定員-大人の人数)×1.5」
この換算比率をもとに、実際に乗車できる子供の人数を求める計算式は次の通りだ。(車の乗車定員-乗車する大人の人数)×1.5=乗車できる子供の人数(小数点以下は切り捨て)。
この式を、タイトルにある「5人乗りに子供6人」というケースに当てはめてみよう。運転者である大人が1人だけ乗り、残りの席をすべて12歳未満の子供が使う場合を想定する。(5人-1人)×1.5=6.0となり、計算上は6人の子供が乗車可能という結果になる。運転者1人と子供6人、合計7人が、法律上は「5人乗り」の車に乗ることができるというわけだ。数字だけを見ると驚くかもしれないが、これは法律にきちんと基づいた正当な計算結果である。
ここで見落としてはならないのが、法律上は乗車が認められていても、物理的なシートベルトの数はあくまで座席数分、つまり5人分しかないという事実だ。先ほどの例で言えば、7人が乗車すること自体は合法だが、車内にあるシートベルトは5本のみ。単純計算で2人分足りない。
実はこの点についても、法律はきちんと手当てをしている。道路交通法施行令には、乗車定員の範囲内でシートベルトが不足する場合、運転者と助手席以外の座席についてはシートベルト着用義務が免除されるという規定がある。つまり、シートベルトが足りずに着用できない子供がいても、それ自体は違反にはならない。
ただし、ここで冷静に考えたいのは「合法であること」と「安全であること」はまったく別次元の話だという点だ。シートベルト非着用時の死亡事故率は、着用時と比較して大幅に高くなるというデータもある。法律上の免除規定があるからといって、それを積極的に活用するのは決して推奨できることではない。
さらに、6歳未満の子供にはチャイルドシートの着用が道路交通法によって義務付けられている。乗車定員の計算上は問題なくても、車内に人数分のチャイルドシートを物理的に設置できるとは限らない。乗車定員に収まっているからといって、チャイルドシートの設置義務そのものが自動的に免除されるわけではない点にも注意が必要だ。
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