いまや絶対王者として君臨する大人気高級ミニバンといえばアルヴェルだろう。しかし、その誕生前夜には、日産の傑作モデルが圧倒的なカリスマ性で市場を席巻していた時代があった。 牙城を崩すべくライバルメーカーが繰り出してきた怒涛の対抗策と、なりふり構わぬ包囲網はなぜ破れ去ってしまったのか。今なお語り継がれる伝説の覇権争いと、敗北の先にあった劇的な逆転劇の裏側に迫る。
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部、日産、トヨタほか
【画像ギャラリー】マイチェン後初代グランビアの2代目アリスト風リアがコレ!(12枚)画像ギャラリー元祖ミニバンキングの帰還
新型エルグランドを語る上で外すことができないのが、アルファードの存在だろう。一時は天下を取ったエルグランドの牙城を崩し、現在では高級ミニバンのジャンルで圧倒的な一人勝ちを収めているのはご存知の通りだ。
しかしアルファードが圧倒的な人気を獲得した影に、初代エルグランドに完膚なきまでの敗北を喫した4車種があったのである。
エルグランドより先にデビューしていたグランビア
初代エルグランドは1997年5月に登場しているが、トヨタの上級ミニバンとして新たに設定されたグランビアは、1995年8月に一足早く登場していた。
このグランビアはエルグランドと同じくフロントにエンジンを搭載し後輪を駆動するレイアウトを採用しており、3ナンバー専用の広い室内空間や2985mmという非常に長いホイールベースで、落ち着いた乗り味も合わせ持っていたのだ。
デビュー当時のキャッチコピーは「これからの1BOXは、こうなる」というもので、確かに新たな時代の幕開けを感じさせる仕上がりとなっていたことは間違いなかったのだが、初代エルグランドが登場すると状況は一変してしまう。
エルグランドもグランビアと同じくFRレイアウトを採用し、3ナンバー専用ボディを持つなど、基本的な要素は共通していたが、エルグランドは押し出しの強い大型メッキグリルや、本革シートの採用など、分かりやすい高級車の不文律をしっかり兼ね備えており、ここが多くのユーザーに刺さることになった。
またエルグランドはV6 3.3L(のちに3.5Lに拡大)のガソリンエンジンをラインナップしていたのに対し、グランビアは2.7Lの直列4気筒ガソリンエンジンだったという点も高級車として評価の分かれる点だった。
見境のない戦法で対抗するも「トヨタらしさ」?
そこでトヨタも1997年4月にグランビアのナロー版として追加されていたハイエースレジアスに加え、同年8月にはグランビアにV6 3.4Lを搭載するマイナーチェンジを実施する。
それでもエルグランドの勢いを止めきれず、1999年8月に再びマイナーチェンジを実施し、グランビアはエルグランドにも似た大型グリルを備え、アリスト風のテールランプにするという大幅なスキンチェンジを実施。
さらにグランビアの兄弟車としてグランドハイエースをラインアップし、ハイエースレジアスをレジアスと改名した上で、こちらにも兄弟車としてツーリングハイエースを設定。ワイド2車種、ナロー2車種の4兄弟体制という数の力で対抗する手法を採っており、このなりふり構わぬやり方はいかにトヨタがエルグランドを意識していたかを感じさせるものと言えるだろう。
しかし結果は多くの人がご存知の通り、初代エルグランドの圧勝となり、グランビア4兄弟は後塵を拝す結果となってしまった。
ただ、この敗北があったからこそ、トヨタはエルグランドを徹底的に研究し、日本のユーザーにマッチする高級ミニバンとして2002年に初代アルファードをリリースすることになったワケで、敗戦から学ぶことが多いという言葉が事実であると裏付けることにもなったのである。
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