バスのお仕事とは、なにも運転士だけではない。貸切バスのバスガイドも重要な職業だ。現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」をお届けする。今回はバスガイドをバス事業者に必要な時に派遣する専門の会社に所属するバスガイドに話を聞いた。
文:町田奈子
編集/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■アクシーズで働くバスガイド
以前にバスガイドにはさまざまな働き方があることを紹介した。今回はその中から、筆者も一緒に仕事をしたことがある株式会社アクシーズ所属のバスガイドに話を伺った。ともに仕事をしたことがある会社ではあるものの、実際にどのような仕組みなのかは筆者自身も詳しくは知らない部分がある。
アクシーズに所属するバスガイドに集まっていただき、座談会を通して働き方や、バスガイドを続けることの魅力を深掘りしていく。アクシーズは、いわゆる「派遣」というよりも、業務委託という形でガイドに仕事を斡旋している。
■自分らしく続けられる働き方
「このような仕事がありますが、いかがですか?」そう依頼を受けたガイドは、自分の予定や条件に合わせて仕事を引き受ける仕組みだ。乗務するバス事業者は、全国各地に及ぶのは言うまでもない。
事業者所属の正社員バスガイドであれば、基本的には所属する営業所や車庫から仕事が始まる。しかし業務委託の場合は、指定された場所まで自分で向かわなければならない。朝早くから準備をし、大きな荷物を抱えて集合場所へ向かうことも、この働き方ならではの日常である。
所属するガイドさんの年齢や経歴もさまざまだ。新卒でバス会社に入社し、数年で退職した後に所属する人もいれば、ガイド同士のつながり、いわゆる「ガイドネットワーク」を通じて加わる人もいる。
働き方についても、それぞれの生活に合わせた選択ができる。「まだバスガイドを続けたい。でも、子どもが小さいうちは泊まりの仕事が難しい」というようなライフイベントに合わせて日帰りの仕事を中心に引き受けることも可能だ。
正社員としてバスガイドを続けようとすると、自分の予定に合わせて仕事を調整することは難しい。特に、結婚や出産、子育てといったライフステージの変化により、続けたくても離れざるを得ない人もいる。
だからこそ、自分の生活を大切にしながら、息抜きや趣味と実益を兼ねてバスガイドを続けられることが、この働き方の大きな魅力なのではないだろうか。もちろん、業務委託ならではの大変さもある。
正社員のように決まった車庫から出勤するのではなく、大きな荷物を抱え、指定された場所まで自分で向かわなければならない。初めて乗務するバス会社であれば、会社も乗務員も「初めまして」の人ばかりである。それでも、座談会に参加した皆さんは口をそろえて、「今が一番楽しい」と話していた。
参加者の皆さんが正社員として働いていた頃は、どちらかといえば縦社会だったという。先輩と後輩の関係がはっきりしており、その中で厳しく育てられてきた。一方、現在は正社員という立場ではないからこそ、上下関係にとらわれすぎることなく、ガイド同士がフラットに付き合える。
さまざまな会社で働くガイドとの横のつながりが広がっていくことも、この働き方ならではの魅力だという。乗務するバス会社も毎回同じとは限らない。初めのうちは知らない会社や乗務員ばかりで緊張するが、いろいろな会社へ行くからこそ、それぞれの社風や仕事の進め方を知ることができる。
それらを比較することで、各社の良い部分や、自分には合わないと感じる部分も少しずつ見えてくる。考えてみれば、バスガイドにとってお客様は毎回「初めまして」である。乗務するバス会社が変わったとしても、初めましてという点では変わらないのである。
最初は知らない人ばかりでも、仕事を重ねるうちに少しずつ顔見知りが増えていく。別々の仕事で訪れた観光地の駐車場で偶然再会し、バスのそばで立ち話をすることも珍しくない。広いようで狭いのがバス業界だ。
その距離の近さを息苦しく感じることもあるが、一度離れても誰かと再会でき、そこからまた新しい仕事や縁につながっていく。その狭さは、見方を変えれば、この業界ならではの温かさでもあるのかもしれない。


