ドイツの世界有数の自動車部品サプライヤーであるマーレは、9月15日から20日までドイツ・ハノーファーで開催された「IAA TRANSPORTATION 2026」において、BEVトラック向けのレンジエクステンダーシステムを世界初公開した。
すでに商用車メーカーとのプロジェクトも始動しており、同システムを搭載する試作車やテスト車両の早期路上走行を目指すとしている。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/マーレジャパン
再注目されるレンジエクステンダーEVトラック
今回「IAA TRANSPORTATION 2026」で発表したレンジエクステンダーシステムは、既存のBEVプラットフォームへの組み込みを想定し、発電機、エンジン、サーマルマネージメント、燃料タンク、AdBlueタンク、排気ガス浄化システムなどを一体化したコンパクトなパワーユニットである。
主要コンポーネントとなる高電圧発電機は、連続出力110kW、ピーク出力130kWを発揮しながら、新開発のオイル冷却システムにより小型化を実現。1kgあたり7kWを超える高いパワー密度を実現している。
また、高温側48kW、低温側15kWの冷却能力を備えた統合型サーマルマネージメントシステムを採用することで、効率的かつ信頼性の高い稼働にも貢献する。
欧州では、商用車部門の脱炭素化に向けて、既存のディーゼルトラックから一挙にBEVトラックなどのゼロエミッション車へ移行する動きが進めれており、なかでも長距離輸送用のBEV大型トラックでは、500kWh~800kWh近くに達する大容量バッテリーを搭載することで、航続距離を確保する動きが広がっている(すでにロングレンジのBEV大型トラックは欧州メーカー各社が市販化している)。
しかし、こうした大容量バッテリーの搭載は、MCS(メガワット・チャージング・システム)などの超急速充電との組み合わせを前提としており、依然として多くの地域で充電インフラが不足、高額な充電コストも課題となり、BEVトラックの普及を阻む大きな要因になっている。
こうした背景から、ここにきて再注目されているのがレンジエクステンダーEV(EREV=エクステンデッド・レンジ・エレクトリック・ビークル)トラックで、スカニアとDHLがEREVトラックの実証運行を行なうなど、市場投入を目指したメーカーの動きも始まっている。
バッテリー容量を約3分の1に削減し、800km超の航続距離を実現
マーレは今回のレンジエクステンダーシステムによって、BEVトラックに内燃機関車に近い実用性と柔軟性を持たせ、充電インフラが充分に整備されていない地域や長距離輸送における航続距離、充電時間といった課題の補完を狙う。
同社によれば、レンジエクステンダーシステムを採用することで、BEVトラックに搭載されるバッテリー容量を約3分の1に削減でき、これによりリアアクスル荷重で約400kg、車両総重量では約600kg軽量化できるという。
また、航続距離はバッテリーのみで約400km、レンジエクステンダーを稼働させることで約400km延長し、合計800km以上の航続距離を実現するとしている。
ちなみに、ボルボ・トラックの「ボルボFHエアロ・エレクトリック・ER(航続距離延伸型)」は、欧州の市販BEVトラックでは最大級となる780kWhのバッテリーを搭載し、航続距離は約700kmである。マーレのシステムは、これを上回る航続距離を実現する。
もちろん、発電機を搭載するレンジエクステンダーEVは、ゼロエミッション車ではない。しかし、同社のシステムは従来の内燃機関車と比較してCO2排出量を80%以上削減できるとし、HVO100などの再生可能燃料を使用した場合には、実質的なCO2排出量をゼロに近づけることもできるという。
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