日本の自動車販売において高いニーズを持つコンパクトSUV。手頃なサイズで扱いやすく、燃費など経済性にも優れている。走りの実力と質感を向上させ登場した新型日産 キックスと、それを迎え撃つライバルたち、それぞれの魅力を探る。
※本稿は2026年8月のものです
文:片岡英明/写真:中里慎一郎 ほか
初出:『ベストカー』2026年9月26日号
コンパクトSUVを徹底比較!
上の図を見てもらえばわかるが、キックスにとって強力なライバルと目されるカローラクロスは少しだけボディサイズが大きい。最も車格とサイズが近いのはヴェゼルだ。
ヤリスクロスは少し全長が短いし車格感が劣る。さらに小柄なのは、全長が4mを切っているフロンクスやロッキーなどだ。
パワートレーンも多種多様だ。キックスは1.4Lの3気筒エンジンを発電に使うシリーズハイブリッドのe-POWER、カローラクロスとヴェゼルは2モーター方式のHEVを主役に据えている。カローラクロスは1.8Lと排気量もライバルより大きい。
インド生産のフロンクスは、1.5Lの4気筒エンジンにマイルドHEVの組み合わせ。変速機もライバルが電気式無段変速機(CVT)を採用するのに対し、6速ATとしている。駆動方式は4車ともFF方式の2WDに加え、フルタイム4WDを設定した。
注目のキックスの実力はいかに!?
キックスが搭載するのは第3世代のe-POWERだ。取材車の4WD(e-4ORCE)モデルはリアにモーターを追加しているため冴えた加速を披露した。アクセルを踏み込むと低回転から気持ちよくパワーとトルクが盛り上がる。静粛性の高さもBEVに迫った。
HEV勢でも通常はエンジンが発電を、駆動は主にモーターが担当するのがヴェゼルのe:HEV。応答レスポンスがいいので、1.5Lとは思えない滑らかで力強い加速を見せた。クルージング時の静粛性もキックスに肉薄する。
カローラクロスは2モーターで高効率、低燃費が自慢のTHSIIだ。第5世代になり、システム出力を高めているので登坂路などでも余裕ある加速を見せつける。実用燃費も良好だ。
フロンクスはライバルと比べると控えめなスペックだが、軽量ボディと6速ATに助けられ、不満のない加速を見せた。ただし、4WDは60kg重いので、走るステージによっては余裕を欠く場面がある。加速時はエンジン音も耳に付く。
スズキには本格クロカンSUVのジムニーノマドもいる。ATは4速だし車重も重いため動力性能は今一歩にとどまっている。乗り心地などの快適性も物足りないが、副変速機を装備し、悪路や雪道の走破性は他のSUVを寄せ付けない。オンリーワンの魅力だ。
コンパクトSUVはいまやひとクラス上の上質感
ステアリングを握って驚かされたのは、売れ筋の3車はコンパクトカーの域を超え、上級クラスと遜色ないハンドリング性能と上質な乗り味を身に付けていたことだ。ボディなどの剛性は高いし、大径タイヤも上手に履きこなしている。
プラットフォームを刷新したキックスは17インチタイヤを履く。ストローク感をたっぷり取った穏やかな乗り心地と静粛性の高さが印象的だ。
FF車もいい仕上がりだったが、コントロール性と操る楽しさ、安心感はe-4ORCEが一歩上をいく。ワンペダルモードの恩恵を受ける場面は減ったが、モードをうまく切り替えれば回生ブレーキが効くのもキックスの魅力だろう。
剛性アップや足まわりの改良に力を入れたカローラクロスは、ハンドリングと乗り心地のバランス感覚が絶妙だ。ボディは大柄だが、取り回し性も悪くない。
上級グレードは安全装備だけでなくベンチレーションシートやハンズフリーバックドアなど、快適装備も1クラス上の充実ぶりだ。
走りの楽しさにこだわる人には2L・HEVを搭載し、足を引き締めたGRスポーツがお薦め。予算と好みに応じて満足度の高い買い物をできるのがカローラクロスの強みと言える。























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