クルマは、シフトをPレンジに入れれば、駆動系の回転が機械的に抑えられます。それでも、駐車時にはパーキングブレーキを併用する必要がありますよね。
なぜPレンジに入れれば駆動系の回転が抑えられるのにパーキングブレーキも必要なのか。Pレンジとパーキングブレーキどちらも必要な理由を、駐車中のクルマの仕組みから考えます。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_One/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】「Pレンジ」に入れればクルマは動かない……なのになぜパーキングブレーキも必要?(9枚)画像ギャラリーPレンジは歯車をロックし、パーキングブレーキは車輪を止める
Pレンジのあるクルマ(一般的にはAT車)で、駐車時にシフトをPレンジへ入れると車体が動かなくなるのは、車輪にブレーキがかかるからではありません。クルマを止めているのは、変速機(トランスミッション)の中にある「パーキングロック機構」です。
Pレンジに入れると、変速機内部の歯車であるパーキングギヤの溝に、爪状の金属パーツであるパーキングポールがかみ合います。回転しようとする歯車にストッパーを挟むようにして、駆動系の回転を抑える仕組みです。
一方のパーキングブレーキは、車輪に備わるブレーキを作動させ、車輪の回転を抑えるもの。手でレバーを引き上げるタイプも、足元のペダルを踏み込むタイプも、スイッチで作動する電動式も、操作方法が違うだけで基本の役割は同じです。Pレンジのように変速機の中をロックするのではなく、車輪が回転するのを抑えることでクルマが転がり出そうとするのを止めるものです。
どちらも「クルマを止める」という目的は共通ですが、「変速機内部の歯車をロックするのか」「車輪そのものをブレーキで止めるのか」という違いがあり、この違いが、坂道での駐車時に大きな差となって現れます。
坂道で「Pレンジだけ」にすると、クルマに何が起きる?
坂道でパーキングブレーキをかけず、Pレンジに入れてからフットブレーキを離すと、クルマは坂の傾斜によってわずかに動き、パーキングポールがギヤにかみ合ったところで止まります。
この状態ではパーキングロック機構に力がかかっており、Pレンジを解除しにくくなったり、解除時に音やショックが出たりすることがあります。シフトを動かした際に「ガコン!」と音やショックが出ることがあるのは、負荷を受けていたパーキングロック機構が解除されるためです。
これを防いでくれるのが、パーキングブレーキです。パーキングブレーキで車輪の回転を抑えておけば、パーキングポールとギヤが強く押し合わずに済み、発進時のショックも抑えられます。駐車時はフットブレーキで完全に停止し、ペダルを踏み続けたまま、車両の取扱説明書に従ってPレンジとパーキングブレーキを操作します。
もちろん、パーキングブレーキだけに頼るのも危険です。手動式ではレバーの引き方やペダルの踏み込みが足りず、十分な制動力が得られないことがあるほか、ワイヤーの伸びやブレーキ機構の不具合によって、保持力が低下する可能性もあります。もし駆動系がフリーの状態でパーキングブレーキだけで支えきれなくなれば、クルマは転がり出してしまいます。
パーキングブレーキでクルマを保持し、Pレンジでも駆動系をロックする。このふたつが揃って初めて、クルマは安全に止まり続けることができるのです。
最近は、Pレンジへの切り替えに連動して電動パーキングブレーキが自動で作動する車種も増えましたが、連動する条件や初期設定は車種によって異なります。自分のクルマでは自動で作動していても、旅先のレンタカーや社用車では手動操作が必要な場合もあるため過信は禁物です。大切なのは、フットブレーキを離す前に、Pレンジに入っていることとパーキングブレーキの作動を確認することです。












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