日産自動車でV35スカイライン、Z33フェアレディZ、そして何より現行型GT-Rを作り上げた水野和敏氏が、スズキスイフトRSハイブリッド、VW up!、マツダデミオ13Sツーリングに試乗。
「コンパクトカーは、エントリーカーだからこそそのメーカーの思想が最も顕著に現れる」と評しました。 記事末尾にはスペシャル動画もありますのでぜひそちらもお楽しみください。
初出:ベストカー2017年9月10日号
写真:小宮岩男
■コンパクトには「メーカーの賢さ」が現れる
こんにちは、水野和敏です。今回はコンパクトカーに焦点を当ててみたいと思います。コンパクトカーにとっては価格の安さやサイズの使いやすさなどから、エントリーカーとしての位置付けは大切な要素です。
「限られた原価やサイズ、そして軽い重量や法規の達成」、特に「メーカーの賢さ」が顕著に現われるカテゴリーでもあります。
スポーツカーのようにクルマに興味を持つ人が指名買いをするのではなく、「生活必需のパートナー的道具」として買っている人がほとんどでしょう。免許取り立ての娘さんも乗るでしょうし、お年を召したドライバーもいらっしゃるでしょう。
そのようなコンパクトカーだからこそ、基本性能や効率のよさが求められると思います。今回はこれらを重点に評価してみましょう。
■最高の効率を追求したエクステリアデザイン
スイフトは新たに加わったストロングハイブリッドではない、売れ筋のマイルドハイブリッドRSをチョイス。
先日改良モデルが登場したデミオは、独特の存在であるディーゼルではなく、今回はエントリー、ポピュラー的な1.3Lガソリンエンジン搭載モデルとしました。
欧州コンパクトカーは、本当ならVWポロあたりが妥当と思いますが、今日の時点ではまだ新型は日本に入っていないので、あえてVW up!を試しました。
こうして3台並べて外から見ているだけでもそれぞれの思考がよくわかります。
独特のちょっとずんぐりしたスイフトのフォルムは、プラットフォーム、居室、トランク、全てに無駄がなく効率的な設計がされています。それぞれの場所を真面目にコツコツと積み上げて作り上げたパッケージです。
使いやすい取り回しのための短いフロントオーバーハング、室内空間のために前進させて角度を立てたAピラー配置、後席後ろのルーフの傾斜などまったく無駄な部分がなく、最高の効率を追求した「賢さの塊」という印象のクルマです。
軽自動車で培ったスペース効率設計のノウハウを生かしたスズキだからこそできるクルマです。ただしこの特異なスタイルもパリの街中で見ると決まっているんですが……。
コメント
コメントの使い方