■「インダストリー」と「アート」の違い
いっぽうデミオはというと、中型車や小型車を主力にしているマツダがスケールダウンして作ったクルマという印象です。
スペース効率からみると、以前も指摘させていただきましたが、フロントノーズ先端の15㎝ほどが取り回し実用性、荷室容量、後席居住性と引き換えに〝前顔のデザインだけ〟のために、機能性のないスペースとして使われています。
自動車のデザインは性能や機能を作り出す使命を持つ「インダストリー(工業)デザイン」であり、その形から感性を創る「アートデザイン」とは違います。特にその部分は、コンパクトで安価なクルマほどお客様に対して大切な商品要件になっていると思います。
かつては軽自動車技術や5ナンバー枠の高級車技術を持つ「賢さの日本車」が、欧州車やアメ車に対して絶対的な商品力を築き上げてきました。いわば日本のお家芸なのです。
最近のマツダ車はアクセラやCX-3などでも同様のデザイン手法で統一感を出そうとしていることはわかるのですが、パッケージングの考え方からみると、ある種アメ車的になっているようにも見えるのです。
■アウトバーンで走るからこその設計思想
up! は明らかに考え方が違います。日本のコンパクトカーのようにスペース効率をギリギリまで追い詰めて「小さい車両サイズと最高の居室、荷室ユーティリティを両立」させようとするパッケージングの妙味はドイツ車にはありません。
これはベンツAやスマート、BMW1シリーズでも共通なのですが、速度無制限のアウトバーンや、100km/h以上で一般道を走るドイツ車にとって大事なのはスペース効率ではなく、プラットフォームやモノコックの頑丈さやブレーキ&シャシーレイアウトの設計自由度だというのがひしひしと伝わってきます。
【水野和敏氏スペシャル動画 #25】
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ここから水野さんは、いよいよ3台の実車に乗り込み、試乗して、インプレッションを語ってくれました。以降は2017年8月10日発売の『ベストカー 9/10号』をご確認ください!
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