ホンダがF1から撤退……突然の一報に衝撃が走った。その衝撃の大きさは、普段F1を報じない一般紙・誌が、こぞってこの話題を取り上げたことからも明らかだろう。
その撤退理由についてホンダは「将来のカーボンニュートラル実現に集中し取り組んでいくために、今回、F1への参戦を終了するという判断をしました」としているが、それが本当にF1撤退の理由なのだろうか。
第二期ホンダF1が栄華を極めた当時からF1を技術者として、そしてジャーナリストして見続けてきた津川哲夫氏が解説する。
文/津川哲夫、写真/HONDA
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■理由が「環境対策」でもF1以外は参戦継続の怪
F1界に激震が走った。突然ホンダが2021年をもってF1からの撤退を発表したからだ。
ホンダのリリースによれば、今後のカーボンニュートラル(二酸化炭素の中立化)等の環境対策やその技術の向上へ全力を注ぐため……等々の理由を上げている。
現実に欧州各国やアメリカでは近未来的に内燃機関車輌の新車販売禁止が施行され、内燃機関と電気モーターのハイブリッドさえも容赦なく否定されている。もはや電気自動車でなければ将来がなくなってしまった。
ホンダはこのエリアに出遅れていた感は免れず、今後の技術開発、新車開発の方向性の大きな修正が求められているのは間違いないところだ。
しかし、これをF1撤退理由の中枢に置くのはあまりに情けない。
差し迫った近未来の生き残りをかけて、新たな技術開発・新車開発にF1のスタッフと労力、リソースを注ぎ込む……
と言うのだが、ホンダのF1開発に関わる技術スタッフが、まさかホンダの全技術スタッフであるはずもないし、F1スタッフの手をも借りなければ新技術開発が間に合わないほど、ホンダ技術部門の組織はリソースが足りないのだろうか?
まさかそんなことはないだろう。実際、米インディカーシリーズPU(パワーユニット)の新規開発の契約も交わしているし、スーパーGTやスーパーフォーミュラの開発も続けていくと言う。つまり、その部分での手は充分に足りているはずだ。
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