「3列シート」、「7〜8人乗り」の定番はもちろんミニバン。ノア/ヴォクシーやセレナなどは、コンパクトカーに次ぐ日本の売れ筋ジャンルだ。
いっぽう、最近ミニバンに匹敵するほど人気を拡大しているSUVにも3列シートをもつモデルは多い。普段、あまり触れられるケースが少ない“SUVの3列目”は、どれほど使えるのか?
最新SUVのなかから、大型のアウディQ7を“基準”とし、ひと回り小さい日産 エクストレイル、三菱 アウトランダーの計3台をピックアップ。その居住性、ミニバン未満?
文:渡辺陽一郎/写真:平野学
ベストカー2017年11月26日号
大型SUVのアウディQ7、3列目はミニバン並みか?
今回の4車のなかでアウディQ7の3列目は広い部類に入る。身長170cmの大人6名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先空間が握りコブシ2つ弱になるようスライド位置を調節しても(これより前側には寄せられない)、3列目の膝先にコブシ半分の余裕ができる。頭上空間もほぼ同じだ。
3列目に座る姿勢は、腰が落ち込んで膝が持ち上がるから窮屈。ほかの3車と同様、座面が広くても大腿部が離れて意味はないが、床と座面の間隔には若干の余裕がある。
注目されるのは、2列目のスライドレールが床から少し持ち上がった台座に装着されること。2列目の下に空間ができて、3列目乗員の足が収まりやすい。
膝の持ち上がり方が緩和され、ツマ先がスライドレールに引っ掛かる心配も薄れる。SUVでも3列目の乗員に配慮した。
サイドウィンドウ下端と、目の前にある2列目の背もたれが高く、この影響で潜り込むような圧迫感が強いため、開放感はいま一歩。
しかし座面にはボリューム感があり、乗り心地にもよい影響を与えている。3列目の側方には後輪が位置するから1、2列目よりは粗く感じるが、座面と背もたれの下側が、振動を吸収していた。
ちなみにQ7の3列目をMクラスミニバンのノア/ヴォクシーと比べると、やはり後者が快適。ノア/ヴォクシーは2列目の膝先空間が握りコブシ2つぶんになるように位置を調節しても、3列目に同等の余裕ができる。
床と座面の間隔も充分にあり、3列目に座る乗員の足が2列目の下に収まるから、6名乗車でも窮屈に感じない。3列目の居住性はノア/ボクシーの圧勝だ。
大柄なアウディQ7でもノア/ヴォクシーに負けるのだから、後述する3車種ではさらに差をつけられてしまう。
■アウディQ7 3列目の実測値
・座面の長さ/370mm
・座面の幅(1人分)/450mm
・背もたれの高さ/630mm
・床から座面までの高さ/250mm
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