2020年9月16日、高速道路の一部区間で、最高速度が正式に120km/hへと引き上げられた。現時点では新東名の一部区間と、東北道の一部区間にかぎられているが、今後、適用される区間は拡大されていく計画だ。
もちろん、最高速度が120km/hになったからといって、みんながみんな120km/hで走らなければならない、ということではないが、周囲のクルマとの速度差が大きくなるのは危険なので、どうしても巡航速度はこれまでよりも高くなる傾向になろう。
さて、高速道路120km/h時代となった今、この20km/hの差が、ドライビングにどんな影響を及ぼすのだろうか? 今回は自動車評論家 鈴木直也とともに、JARI高速周回路でのダブルレーンチェンジ&ブレーキングテストのテストに挑んだ!!!
■テスト車ラインナップ
・トヨタ ヤリス
・ホンダ フィット
・トヨタ ヤリスクロス
・日産 キックス
・メルセデス・ベンツ C200
・レクサスES300h
・ホンダ アコード
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※本稿は2020年10月のものです
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部、撮影/平野 学、西尾タクト
初出:『ベストカー』 2020年11月26日号
■120km/hだと、危険回避はこんなに難易度が高まる
フルブレーキングとダブルレーンチェンジで100km/hと120km/hの違いをテストした結論は、「120km/hをナメたらアカン!」ということ。それくらい、その差は大きかった。
■トヨタ ヤリス
ヤリスはトヨタ最新のGA-Bプラットフォームの評価が高く、ハンドリングに定評がある。100km/hでは予想どおり軽快なフットワークで左→右とレーンチェンジ。横Gのピークとなる切り返しポイントで若干のオーバーシュート感はあるものの、スムーズに最終パイロンをクリアして行ける。
気になったのは、タイヤのグリップ限界にかなり近づいているはずなのに、スタビリティコントロール(トヨタではVSC)がほぼ介入しないこと。このへんはメーカーや車種ごとにセッティングが異なるが、エントリーモデルとしては介入が遅い。
それが影響したのか、速度を120km/hに上げたダブルレーンチェンジでヤリスは大きく姿勢を乱した。
操舵の“キレ”がいいから、120km/hで進入しても最初の左レーンチェンジへの追従性は良好。しかし、切り返しで横Gピークに達する時にロールの揺れ戻しがシンクロすると、予想以上の荷重が左側タイヤに集中する。
VSCが作動する間もなく、ここでヤリスはいきなりスピン!「どうせVSCが介入するはず」とタカをくくっていたから、肝を冷やした。
それにしても、パイロンで区切られた狭いレーンに120km/hノーブレーキで進入する時の緊張感たるや、100km/h時の2倍じゃきかないくらいのヤバさ。「もっとドライビングに集中しなくちゃ!」と、思わず気を引き締めた一発目のハプニングでした。
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