主力商品を軽自動車とするライバルメーカー同士であるスズキとダイハツ。両社は軽自動車の2強メーカーある一方で、スズキはトヨタとの協業を進めていて、ダイハツはトヨタの完全子会社という関係にある。
そして、軽自動車が主力のスズキとダイハツにとって今後大きな課題となるのが2030年度の新燃費基準。特に軽自動車にとってクリアするのが厳しいことが予想され、両社は危機的状況に追い込まれる可能性がある。
そんな、スズキとダイハツは今後どのような戦略で生き残りを図っていくのか?
文/渡辺陽一郎
写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、ベストカー編集部
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■軽自動車販売1位を争うスズキとダイハツ
2020年には国内で171万8088台の軽自動車が新車として販売された。この台数は小型/普通車を含めた国内新車販売総数の37%を占める。1990年の軽自動車比率は23%だったから、過去30年間で販売比率は急増した。
そして軽自動車の販売1位を争うのがダイハツとスズキだ。過去を振り返ると、1973年から2006年まで軽自動車の販売1位はスズキであった。それが2007年以降は、2014年を除くとダイハツが一貫して販売1位になる(いずれも暦年)。
ただし2020年はダイハツが53万6292台、スズキは52万3604台だから、ダイハツが1位とはいえ販売台数の差は1万2688台に過ぎない。3位はホンダで32万5332台、4位は日産で20万2255台と続く。
ホンダに関しては、2020年に国内で売られた新車の53%が軽自動車であった。日産も43%だ。この2メーカーの売れゆきも、軽自動車の販売比率を37%まで押し上げる役割を果たした。
以上のように今の国内市場では軽自動車が売れ筋カテゴリーだが、以前とは違う販売動向も見られる。それはダイハツとスズキが、軽自動車を中心にした販売構成からの脱却を図っていることだ。
■2015年から小型車販売に力を入れたスズキ
まずスズキは、2015年に発表した中期経営計画「SUZUKI NEXT 100」で、国内の小型車販売:10万台以上、軽自動車シェア:30%以上の目標を掲げた。小型車販売:10万台以上は新しい目標だったが、2016年に早々と達成している。
2015年に発売された先代ソリオが好調で、同年にフルモデルチェンジした現行エスクード、2016年2月に発売された現行イグニス、同年3月のバレーノなども、小型/普通車の販売増加に貢献したからだ。
2020年もスズキは、コロナ禍のなかで10万7000台以上の小型/普通車を登録した。この台数はスバルの小型/普通車を上まわる。またスズキが2020年に国内で販売した新車のうち、小型/普通車が17%を占めた。
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