少し前まで、AT車にはシフトレバーにオーバードライブをオフ/オンできるオーバードライブスイッチが備わっていたが、最近ではほとんど見なくなってきた。
トランスミッションの進化と多様化が進む中、シフトパターンがどう変わってきているのか、振り返ってみようと思う。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、DAIHATSU、MAZDA、SUZUKI、LEXUS、ベストカー編集部 ベストカーweb編集部
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エンジンブレーキを効かせることができた
オーバードライブスイッチは、使っている人は使っているだろうが、人によっては、シフトノブの横に何かのスイッチがあるのは知っていても、それが何のスイッチなのか、分かっていない人も多いようだ。
オーバードライブスイッチは、下り坂などでエンジンブレーキをかけたいときや、高速道路などでブレーキランプを点灯させずにやんわりとした減速をしたいときなどに使用することを目的としていたもので、スイッチを押して「O/D OFF」の状態にすることで、高いギアから低いギアへとシフトダウンすることができた。
4速ATの場合だと、「O/D OFF」で、4速のオーバートップから、3速のトップに落とし、エンジンブレーキを効かせていた(つまり何もしていない状態だと「オーバードライブ」は「ON」になっている。走行中にスイッチを操作して「OFF」にしたとしても、一度エンジンを切って再始動すると、スイッチを操作していなくてもオーバードライブは再び自動で「ON」になっている)。
「オーバードライブ」とは、変速比が1.000より小さい数字の変速比(高いギア比ともいう)のことを示している。変速比1.000のとき、エンジン回転とトランスミッションの出力軸の回転比が等しくなり、この状態が「直結ギア」であり、これを「トップギア」と呼んでいる。
このトップギアよりも変速比を下げたギアを「オーバードライブ(オーバートップ)ギア」と呼び、オーバードライブスイッチは、高速巡航でのエンジン回転数を下げることが目的で設定されていたものだ。
変速比は自動車メーカーのホームページにある車両諸元表を見れば分かる。例えば、日産GT-Rの6速DCTだと、減速比は、1速4.056、2速2.301、3速1.595、4速1.248、5速1.001、6速0.796、後退3.370(最終変速比3.700)となっており、5速がトップギア、6速がオーバートップギアだ。
細かな数字の値はクルマごとにばらばらだが、ギアが上がるごとに変速比は減っていき、1.000をまたいで1.000未満の数字になる流れは、どのクルマも同様だ。
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