レーシングカーのデザインはそのままに、公道を走ることができるレアな市販車「ホモロゲーションモデル」。ホモロゲーション(Homologation)とは、「承認」や「認証」という意味で、ホモロゲーションモデルとは、市販車ベースのクルマによる競技に参戦するために開発・販売された車のことです。
ほかの市販車とはちがい、レースで勝つために、各メーカーが持てる技術をふんだんに織り込み、情熱を注いで開発されたホモロゲーションモデル。「三菱ランサーエボリューション」や、「スバルインプレッサSTI」も、WRCに出場するために生まれたホモロゲーションモデルです。
今回は有名なホモロゲーションモデルをいくつかご紹介していきます。
文:吉川賢一
写真:LANCIA、TOYOTA、NISSAN、ベストカー編集部
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ランチア・デルタ・HFインテグラーレ
イタリアの自動車メーカー、フィアット傘下のランチアが1979年に発売した5ドアハッチバックのファミリーカー「デルタ」。これをベースに、WRC(世界ラリー選手権)グループAのホモロゲーションモデルとして、1987年に発表されたのが、「デルタHFインテグラーレ」です。
ターボエンジンとフルタイム4WDを搭載し、張り出したブリスターフェンダーや、小さめのホイールアーチに大きなタイヤなどで武装した、スポーツモデルでした。
年々アップデートを繰り返し、4バルブ化したHFインテグラーレ16v(1989年)、HFインテグラーレ16vエボルツィオーネ(1992年)、そして最終的には、HFインテグラーレ16vエボルツィオーネⅡ(1993年)へと、進化。
そして、「とにかく壊れやすいクルマ」としても有名でした。筆者の知人もエボⅡに乗っていましたが、「ドアが薄っぺらくて、まるで段ボールのようなボディ」と表現するほどに、危うさと隣り合わせのクルマだったようです。
セリカGT-FOUR RC(ST185型)
4代目セリカに、センターデフ式フルタイム4WDと、インタークーラー付きターボの3S-GTE型を組み合わせてと登場したのがセリカGT-FOURです。このセリカGT-FOURにも、グループA規定となったWRCに参戦するために開発されたホモロゲ―ションモデルがありました。
セリカGT-FOURには、1986年~1989年に販売されたST165型、1989年~1993年に販売されたST185型、そして1993年~1999年に販売されたST205型の3モデルがあり、映画「私をスキーに連れてって(1987年)」の中で、雪上を走り回っていたのは、ST165型。
この映画に影響されて、このクルマのファンになったかたは多いでしょう(筆者もその一人)。
ホモロゲモデルは、セリカGT-FOURの中期にあたるST185型において、1991年9月、セリカGT-FOUR RC(ラリーコンペティション)として、国内限定1800台で販売されました。WRCには1992年の開幕戦でデビューし、その年から3年連続でドライバーズタイトルを獲得。
さらには1993年、1994年とマニュファクチャラーズタイトルを連覇するという、日本人としては嬉しい活躍を見せてくれたモデルです。
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