トヨタGRヤリス
2020年9月に発売されたGRヤリスも、WRC参戦に向けたホモロゲーションモデルです。ベースはコンパクトカーのヤリスですが、3ドアハッチバック化し、ルーフを低く全幅もワイド化、さらには軽量化のためにルーフパネルをCFRPにするなど、中身は大幅にアップデートされています。
エンジンは新開発の1.6リッター直列3気筒インタークーラーターボを搭載、スポーツ4WDシステムGR-FOURにて、4輪で地面を蹴り出します。またシャシーも、フロントはヤリスと共用の「GA-B」ですが、リアはワンランク上の「GA-C」を採用するなど、専用設計です。
2021年のWRCでは、旧型のヤリスWRCにて参戦しているTOYOTA GAZOO Racingですが、水面下では、新型GRヤリスをベースに、次期型WRカーが開発されているはずで、ホモロゲ―ションを取得次第、即座に新型のWRカーへと切り変わるでしょう。
ニッサン R390 GT1 ロードカー
R390は、日産の国際レース活動の黄金期を象徴するマシンの一台です。日産は、1990年代の半ば、ル・マン24時間耐久レースの「GT1」規定に準ずるマシンとして「R390 GT1」を開発。当時の規定では、「公道を走行可能な仕様の登録車」が最低1台制作することが求められており、そのル・マンの認証のために製作されたのが、ニッサンR390 GT1 ロードカーです。
2シーターのミッドシップ・スポーツカーで、カーボンモノコックボディに、3.5リッターV8ツインターボエンジンを縦置きし、6速シーケンシャルギアボックス、R390 GT1用に専用開発された全輪ダブルウィッシュボーン・サスペンションシステムなどを搭載。
ボディ全体の雰囲気はGT1レースカーそのものですが、GT1マシンにはあった大型リアウィングは外されています。また、前年にル・マンへ参戦した1997年型のR390から、1998年型に変わるに際し、リアのテイルを跳ね上げたロングテイルが追加され、空力性能の改善が施されました。
GRスーパースポーツ・コンセプト
TOYOTA GAZOO Racingが東京オートサロン2018で発表した、「GRスーパースポーツ・コンセプト」。TS050 HYBRIDをベースとした市販車で、1000psオーバー、V6ツインターボエンジンやトヨタハイブリッドシステム・レーシング(THS-R)を搭載した限定車です。
2021年からル・マン24時間耐久レースのトップカテゴリーが、「LMハイパーカー」というクラスになり、この規定では、「市販車として参戦する場合、2年間で20台以上の車両を生産しホモロゲーションを得ること。プロトタイプとして参戦する場合はこの制限を受けない」とされています。
今回紹介したGRスーパースポーツ・コンセプトは後者に当てはまるものの、FIA世界耐久選手権(WEC)向けの正式なホモロゲ―ションモデルとはアナウンスされておらず、既にTGRからは、2021年用WECマシンのGR010ハイブリッドが発表されており、直接の関係はないようです。
とはいえ、TGRが発表したテーマ、「次の100年も、クルマを徹底的に面白くする」という挑戦を形にした象徴として、話題にあがったモデルです。いつの日か、このままの姿で市販化がされることを期待します。
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