ここにきて「超小型モビリティ」というカテゴリーの電気自動車が賑やかになってきた。トヨタは『C+pod(シーポッド)』と呼ばれる2人乗りタイプを。
出光興産とタジマモーターも4人乗りタイプを共同で開発中とのこと。はたまた佐川急便によれば、軽トラックの代替に電気自動車を導入するという。今後どういった動きになるだろう?
これからの超小型モビリティ事情を考察していきたい。
文/国沢光宏
写真/TAJIMA-EV、TOYOTA、WULING MOTORS
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■大都市部の商用交通網、EV化が加速中 !?
まず「なぜ電気自動車か?」ということから。
今やカーボンフリーは世界的な流れになっている。「好き嫌い」とか「コストが」など関係無く、優良国際企業の多くが出入りの業者にカーボンフリーを要求し始めている。つまり宅配業者が国際企業の荷物を運ぼうとしたなら、カーボンフリーのモビリティを使うしかない、ということです。
もう少し詳しく書くと、アマゾンが「自社の荷物を運ぶなら運送用車両をカーボンフリーにして欲しい」と言ったら、そのとおりにするしかない……ということが世界的な流れになってきているのだった。エンジン車出入り禁止、今後急速に増えていくと思う。乗用車より早いタイミングで商用車の電気自動車化は進む動きになってます。
出光タジマの超小型電気自動車も、4人乗りの乗用モデルだけでなく1人乗りのトラックバージョンを用意しているというから、これまたニーズ出てくると思う。2021年の後半から大半の宅配業者が超小型電気自動車の導入を発表することになるだろう。皆さん考えるよりずっと早いタイミングで世界は動き始めている。
■超小型モビリティはポスト軽自動車となるか
改めて、超小型電気自動車を紹介してみたい。
2020年9月に国土交通省は超小型モビリティの新規格を発表した。出光タジマが新規格に沿って開発中の超小型電気自動車は、全長2495mm×全幅1295mmと、360cc時代の軽自動車のサイズ感のボディを(スバル360やホンダN360の車幅は1295mm)、20馬力のモーターで駆動する。
スバル360やホンダN360は大人4人が乗れたし、低い回転域から太いトルクを出すモーターの出力特性を考えれば最高出力だって必要にして十分。おそらく80km/hくらいで巡航出来る性能だろう(60km/hの速度リミッターが義務付け)。市街地なら十分交通の流れに乗れると思う。皆さんイメージしてるオモチャのようなクルマじゃない。
ちなみに中国では遊園地の乗り物的な従来の超小型電気自動車と一線を画す『宏光MINI』という新世代モデル(中国ではKカーと呼ばれている)が登場してきており、爆発的な売れ行きになっている。このクルマ、超小型電気自動車のイメージを根底からひっくり返すくらいの完成度とコストパフォーマンスを持っているのだった。
クルマとしてのベースはGM(米)のノウハウを取り入れたGM五菱という大手メーカーが開発し、14kWhという実用航続距離で120kmに達する容量のリン酸鉄リチウム電池を搭載。最高速105km/hという十分な性能を持ち、エアコンまで装備して60万円とリーズナブル。今までなら中国でも120万円以上していたようなスペックです。
日本だと理解しにくいかもしれないけれど、超小型電気自動車でいえば革命のようなもの。中国、宏光MINIの登場で既存のクルマはすべて競争力を失った。今や中国の小型電気作りは宏光MINIがベンチマークになっている。
出光タジマの超小型モビリティや、佐川急便の小型電気トラックは中国で生産されるため、当然ながら宏光MINIレベルになります。
日本の企業が品質をコントロールしてやることで、中国工場で作っても良品になる。今や中国工場で作られている日本ブランドの製品、いくらでもありますから。60万円で売られている宏光MINIと同じスペックを100万円くらいの価格にして日本発売すれば、軽自動車を足として使っているユーザーの多くが乗り換えると思う。
御存じのとおり昨今は農村部に行くとガソリスタンドが激減してしまった。ガソリン入れに行くのに30分走る、みたいな地域まで出てきてます。出光タジマEVなら一般家庭の100V電源を使い充電可能。スペック表にある充電8時間は電池使い切った時のもの。10km走る毎に1時間をイメージしておけばいいと思う。電気代は10kmで20円程度。
超小型モビリティは軽自動車よりランニングコストも優遇される。というか電気自動車ならすべて免税です。100万円で安い移動手段になれば、軽自動車から乗り換える人もたくさん出てくることだろう。
3~4年すると都市部の宅配便は超小型電気トラック。農村部の足として超小型モビリティが走るようになっているかもしれません。
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