2009年、豊田章男社長体制になってから、“走り”へのこだわりを具現化しているトヨタ。そして章男社長が掲げたテーマが『もっといいクルマづくり』だ。この取り組みをトヨタは今日まで実践してきているわけだが、その効果は出ているのか?
トヨタの「もっといいクルマづくり」の成果は、現在のトヨタ車にどのように現れていて、その効果が発揮されたトヨタ現行モデルはどれなのか?
文/松田秀士 写真/トヨタ、ホンダ、ベストカー編集部
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■かつてトヨタ車はハンドリングが悪いという評判だった
筆者がレーシングドライバーと並行してモータージャーナリスト活動を始めた頃(1980年代半ば)。「トヨタだからしょうがないよね」という言葉を周りの評論家や編集者からよく耳にした。「しょうがないよね」は何かというと、ハンドリングの悪さだった。
当時、トヨタ系のレーシングチームに2年間在籍させていただいたが、その頃に「グループA」と呼ばれた全日本ツーリングカー選手権という、市販車をベースにした改造範囲の狭いレースに出場させていたただいていた。
市販車に対して改造範囲が狭いから、いわばベース車両(市販車)のポテンシャルがモノを言うわけだ。現在のスーパーGTとはこのあたりが大きく異なり、スーパー耐久に近いレギュレーションだった。
このグループAレースには排気量別に3つのクラス分けがあり、1クラスがスカイラインGT-R、スープラ、フォードシエラなどの大排気量車またはターボによる高出力車。
2クラスはBMW M3(E30型)のほぼワンメーク。そして3クラスにはホンダシビックとトヨタカローラが出場していた。この3クラスはホンダ対トヨタのワークス対決の場となっていたのだ。
当時、レースでの結果はシビックが優勢でなんと11連勝を遂げていた。1シーズンに6~7レースぐらいなので2年越しの連勝というものすごい記録だ。
実は1988年に富士スピードウェイで開催された最終戦(インターTEC)で勝利し、筆者がシビックの12連勝をストップさせたことがあるのだ。ま、自慢話はこれくらいにしよう。
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