北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。第2回はオオワシです。
オオワシは、オホーツク海沿岸の北の大地に生息し、冬の間だけ北海道と本州北部にやってくる冬鳥で、絶滅危惧種に指定されるほど希少な動物なので、実際に見たことがある人は少ないかもしれませんね。
圭さんが極寒の北海道の海岸で岩のようにじーっと隠れて撮影した貴重な写真です。
写真・文/佐藤圭
子鹿やキタキツネも狩る巨鳥
オオワシは、その名の通り、日本に生息する最大の鳥類です。体長は約1m、羽を広げると2mを優に超えます。
小鹿やキタキツネを爪にかけて飛び去ったという話を聞いたことがありますが、飛んでいく姿を近くでみると、十分ありえそうな気がします。
極東だけに生息する貴重なワシで、越冬のため、秋の終わりに北海道に飛来し、春になると北へ帰っていきます。
子育ては、夏の間にロシアなどのオホーツク海北岸で行い、日本で子育てをしたという記録はありません。
白と黒の羽のコントラストが美しく、オレンジ色のくちばしが鮮やかなので、被写体としてはとても魅力的です。
魚を主食として、海鳥を襲ったり、浜辺に流れ着いた海獣の死骸などをついばむなど、海を主なエサ場としているため、「海鷲」とも呼ばれています。
サケが海から川に遡上する頃には、サケを求め、川の周辺に集まってきます。
環境省レッドリストで絶滅危惧種に指定されているとても希少な動物ですが、海沿いの僕の地元では、海岸線の国道を車で走っているとよく見かけるおなじみの鳥です。
ただ、警戒心の強い鳥なので、撮影するときは、ブラインド(テント)を使って身を隠して狙います。冬にしか撮れないので、防寒対策として全身にカイロを貼っています。
国の天然記念物にも指定されていますが、彼らが生きる環境はどんどん厳しくなっています。ハンターが鉛弾で撃って捨てて行ったエゾシカの死骸を食べて、鉛中毒になって死ぬ個体が増えて問題視されています。また、エコエネルギーだとされている風力発電の風車の羽にぶつかるバードストライクという事故も多発しています。
どうやってワシたちと共存していくか、課題は山積みです。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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