日本の国土の22%を占める北海道。道民以外の方にはその大きさがなかなか理解しにくいと思うので、わかりやすく表すと、北海道の玄関口・函館から最北端の稚内までドライブすると約630kmあります。東京を起点にすると岡山まで到達する距離です。
そこには、世界遺産の知床半島や北海道の背骨・大雪山系をはじめ手つかずの自然が残り、多くの野生動物たちが暮らしています。夏が短く、長く厳しい冬に耐えて生きていかねばならないこの地で暮らす動物たちは、本州以南とは違う独特の個性を持っています。
そんな動物たちと北の大地の絶景にこだわって写真を撮り続けている写真家がいます。北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さん(41歳)です。
今週から毎土日曜日、彼が撮りためた写真の中から、コロナのストレスを吹っ飛ばしてくれるかわいい動物たちの表情、美しい絶景を厳選してお届けします。
第1回は、「森の忍者」とも言われるエゾモモンガです。
写真/文 佐藤圭
画像ギャラリー……エゾモモンガアルバム。滑空する姿も撮ったどー!
人の頭に着地することもあります!?
「北海道に棲む野生動物の中で一番かわいいのは?」とアンケートをとれば、ナンバーワンの座に輝くのは「エゾモモンガ」になると僕は確信しています。北海道の顔として、JR北海道のICカード「キタカ」にデザインされているくらいですからね。
エゾモモンガの最大の特徴は、顔の半分を占めるんじゃないかと思うくらい大きくて愛くるしい瞳です。角度によってハート形に見えます。瞳が大きい理由は、夜行性のため光を多く取り入れるためではないかと思います。
夜行性と言っても、トイレに起きたり、小腹がすいたときなどに昼間に行動することもあります。
繁殖期には、5~6匹のオスがメスを追って木の幹を駆け回ることがあります。子育ては、春と秋、年に2回します。
エゾモモンガは、一生のほとんどを樹上で過ごし、キツツキが木に掘った穴や自然にできた樹洞を巣にします。巣の入口は、天敵から身を守るために、卵一個分くらいの大きさしかありません。
リス科の動物ですが、他のリスにはない技を持っています。木から木へ滑空して飛び移ることができるのです。「空飛ぶ森の忍者」という異名もあるくらいです。そうして、天敵の多い地上になるべく下りないようにして身を守っています。
以前、エゾモモンガの撮影に行ったとき、面白いアクシデントがありました。友人と一緒に樹上のモモンガをカメラで狙っていたら、ふわっと滑空した1匹が、その友人の頭の上に着地したんです。お互いどうしていいのかわからず固まっている姿に笑いをこらえるのがたいへんでした。
モモンガは、しばらく休憩したあと、無事、安全な木に飛び移っていったので、ご安心ください。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
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