北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。
第14回は、「動物の子育て特集」第2弾のカワアイサです。
カワアイサと聞いても、鳥類に興味がない方には馴染みのない名前かもしれませんね。カモの仲間で、日本では北海道でだけ通年暮らし、子育てもします。
その子育てが特徴的で、おんぶ、一列縦隊、ダイブととてもユニークです。北海道でしか見られない「春のかわいいパレード」、とくとご覧ください。
写真・文/佐藤圭
道路横断時は住民が交通整理
カワアイサは、北海道中の森や林に生息しているカモ科の野鳥です。カモの仲間のなかでは、一番シュッとているのか特徴です。エサは、おもに川や沼などの水場で魚や虫などを捕食します。
漢字で書くと「川秋沙」。秋に北の大陸から川に渡ってくるので、この名前がついたようです。本州以南に渡るカワアイサは、春になると北へ帰ってしまい向こうで繁殖するようですが、北海道では通年暮らしていて、産卵、子育てをする姿が見られます。
春に生まれたヒナたちは、すぐに歩き出し、親について行進するようになります。その様子は、本当に可愛くて癒されます。
車の往来の多い住宅街の近くで子育てをするカワアイサが、アスファルト道路を母親を先頭に一列縦隊で渡ることがあります。そんなときは、優しい地元住民の方々が車を停めて交通整理をしてあげたりもします。
また、カワアイサのヒナたちはおんぶが大好きみたいで、川で泳いでいるときは、母親の背中に乗りたいヒナたちの背中争奪戦が起こります。勝ち残ったヒナが、母の背中にちょこんと乗った姿はなんとも愛らしいです。
カワアイサは、高い木の上の樹洞を巣に使うことがあります。そこで育ったヒナたちは、巣立ちのとき、まだ飛べもしないのに、身長の100倍くらい高い樹上から豪快にダイブします。初めて見たときは、度肝を抜かれました。
子育ては、メスのみで行います。オスはどこかへ行ってしまいます。
それなのに、通常でも十数羽、ときには他のメスが生んだヒナが混じってしまい数十羽を育てることもあります。
子育ての春、野生動物たちの母性愛にはいつも胸が熱くなります。
佐藤 圭 Kei Satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。MILLETアドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
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