ホンダ車のフロントガラスに付けられている、小さな三角形のマークをご存知だろうか。ドライバーの視線より少し上の高さに、左右が向かい合うようにつけられており、2010年以降に発売されたほとんどのホンダ車にある。
この三角マークは単なるデザインではなく、ある重要な狙いがあって装着されている。
文:吉川賢一
写真:HONDA、エムスリープロダクション
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視線の動きを矯正する役割がある
2008年に発売された「フリード」に初採用されて以降、順次他のホンダ車にも採用が始まった、フロントガラスの三角マーク。もちろん、先日発表となった、新型ヴェゼルにも装着されている。
この三角マーク、一辺が4~5ミリの二等辺三角形をしており、フロントウィンドウの縁にある黒部分と同じく、セラミック製だ。言われないと気が付かないほどの小ぶりなサイズだが、大きな役割を担っている。
ホンダは、車 1台がやっと通れる幅 3メートルの道路を車で左折する際、運転手の視線がどのように動くか 1,000件以上のデータを集めて分析した。
その結果、上手なドライバーは視線の水平移動が多く、未熟なドライバーは視線が上下左右に乱れていることを発見。そこから、無意識のうちに視線の動きを補正させるアイテムとして、「三角マーク」を考案したのだ。
接触事故を大幅に減らす効果が
ホンダによると、年齢も性別も体格も異なる社員 30人を動員し、道幅 3メートルの狭い左折路を軽自動車で 1人 12周してもらい、出口側から見たフロントバンパーと壁の距離を測ったところ、三角マーク無しだと 壁までのバラつきが多かったのが、マークを入れたらバラつきが 120ミリ以上減少したそうだ。
ホンダは、この三角マークがあると、視線の乱れ(視線の縦方向の乱高下)が抑えられ、車幅が把握しやすくなり、結果、狭い路地などでの接触事故を大幅に減らす効果がある、としている。海外も含めたすべてのホンダ車に、三角マークをつけることにしているようだ。
意識しなければ、一生気がつかないかもしれないアイテムだが、無意識のうちにも効果が出ているとは、なんとも驚きだ。
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