近年のカーアクション映画に大きな影響を与えた名作『フレンチ・コネクション』。
タイトルからはフランスを舞台にした映画のように思われるかもしれないが、作中に登場する麻薬密売ルートの名称である。
今回はそんな名作を振り返ろう!
文/渡辺麻紀、写真/ウォルト・ディズニー・ジャパン、Adobe Stock(トビラ写真=Steve Cukrov@Adobe Stock)
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■ドキュメンタリーテイストで作られたアカデミー賞5部門受賞の名作
車やカーアクションが大好きな映画人が、そのベスト作品として必ずと言っていいほど挙げるのが『ブリット』(68)と『フレンチ・コネクション』(71)。
前回の『デス・プルーフ』の監督クエンティン・タランティーノや、この夏公開される『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(8月6日公開予定)の監督ジャスティン・リンもベスト・カーアクション映画にこれらを入れていることからも、それはよくわかる。
『ブリット』は、カーアクションというカテゴリーを映画に誕生させたような作品であることは、このコラムの1回目に書かせて頂いたので、今回はもう1本の『フレンチ・コネクション』をご紹介したい。
『フレンチ・コネクション』は今でも色褪せることのない傑作刑事ドラマだ。
ベースになっているのは、NYPDの実在する二人組の刑事と、彼らが手掛けた実際の事件のルポルタージュ、マルセイユとニューヨークを結ぶ、いわゆる“フレンチ・コネクション”と呼ばれるドラッグ密売ルートの摘発事件の顛末を、ドキュメンタルな手法を駆使して作り、刑事ドラマの表現を大きく変えることになった作品だ。
監督はウィリアム・フリードキン。ドキュメンタリー出身監督らしいリアルで荒々しいタッチと、ジーン・ハックマンが演じた過激で執念深いポパイというキャラクター、そしてくだんの実話の物語が見事にマッチして世界中を驚かせることになったのだ。
本作は、アカデミー賞8部門でノミネートされ、作品賞を筆頭に、そのフリードキンの監督賞、ハックマンの主演男優賞、さらに脚色賞、編集賞の5部門で受賞を果たしている。
さて、そこでカーアクションである。実は本作、『ブリット』といくつかの共通点がある。プロデューサーが同じフィリップ・ダントニという人物なのだ。
どうも彼はカーアクションに強いこだわりがあるようで、初めてのプロデュース作『ブリット』に続く2本目の本作では『ブリット』を超えるカーアクションを作ることを、監督を始めとしたスタッフ&キャストに命じたというのだ。
そこで考えられたのが高架下を疾走する車と、高架線を走る電車とのチェイス。『ブリット』ではサンフランシスコの坂道を活かした車VS車だったが、今回はニューヨークを舞台に車VS電車というわけだ。
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