国産唯一のクロカン系ミニバンとして、熱狂的なファンを持つ三菱デリカD:5。2019年の大幅改良で採用された個性的かつ力強いダイナミックシールドデザインのフロントマスクが話題となったことも記憶に新しい。
そんなデリカD:5は、現在、三菱自動車の公式サイトで販売車両の仕様を限定する旨のアナウンスがなされている。しかもグレードだけでなく、装着済みのオプションや色まで細やかに指定。さらにタイミングによっては注文が受け付けられないという記載まである。
一体、デリカD:5に何が起こっているのだろうか。その事情を探った。
文/大音安弘
写真/MITSUBISHI、パジェロ製造、HONDA
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■デリカD:5は生産拠点が移管されるため、注文できる仕様が限定的に
迫力満点なミニバンはほかにもあるが、道を選ばぬ優れた悪路走破性まで備えるミニバンは、世界的に見ても珍しい。近年のアウトドア人気もあり、現在の三菱自動車の登録車で最も売れているモデルでもある。そんな看板商品であるデリカD:5は、現在、注文可能な新車の仕様を限定している。
具体的には、グレードとオプションの組み合わせは、上級仕様を中心に16仕様に絞れられている。さらにボディカラーも一部制限があり、内装色はブラックのみ。そのうえで、注文のタイミングによっては、購入できない可能性があることも記されている。
グレードや仕様の絞り込みは生産終了の前に実施されるケースもあるだけに、このままデリカD:5が買えなくなるのでは!? という不安を頂いた筆者は、早速、三菱自動車工業に取材を行った。
三菱自動車工業によれば、今回の仕様制限は、生産拠点の移管のためだという。つまり、一時的に、生産が中止となる。その背景には、2020年7月に発表された三菱自動車工業の新中期経営計画で掲げられた生産体制の適正化がある。
その取り組みのひとつとして、パジェロ製造(岐阜県坂祝町)の2021年内の閉鎖が決定されたのだ。そのパジェロ製造は、デリカD:5唯一の生産拠点であったため、工場の閉鎖までに一定の台数を作り置きすることで、移管中のニーズをできるだけカバーしようというわけだ。
そうなれば、当然人気仕様を中心に生産計画が立てることは必須。つまり、厳選された仕様は、デリカD:5の人気のものを厳選した結果である。
気になる今後のデリカD:5だが、岡崎製作所に生産が移管される。その生産自体も、2021年12月より開始される予定なので、ファンは安心して欲しい。
またパジェロ製造の現状と今後についても触れておきたい。パジェロ製造ではデリカD:5の生産は、8月6日にて終了。すでに海外向けパジェロの生産も、7月2日に終了しているので、同工場でのデリカD:5の生産終了をもって、その78年にも及ぶ歴史に幕を閉じる。
今後、工場は売却が予定されており、パジェロ製造の業務も全て終了となる。パジャロ製造は生産に特化した会社だったため、三菱自動車工業の拠点が残ることもないようだ。
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