エンジンの技術は、性能や燃費だけでなく、耐久信頼性などについても飛躍的な進化を遂げています。そのため、従来エンジンでは常識であった知識が今は通用しないことや、場合によっては間違っていることもあります。
ここでは、そのようなエンジンの5つの知識について紹介します。
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ画像:AdobeStock_ metamorworks
写真:写真AC、ホンダ
【画像ギャラリー】昔は常識でも、現代では間違っていることも!? 間違いやすいエンジンの知識
高速道路で燃費がいいのは、エンジン性能が高速域で優れているからではない
高速道路を走行すると、燃費(km/L)が伸びることを実感します。走り方によりますが、一般路の走行に比べて、高速道路では、燃費が20%程度良くなります。
しかし、これはエンジンの燃費性能が、低中速域より高速域の方が優れているからではありません。エンジン単体の燃費特性は、車速70km/hぐらいが最も燃費が良く、それ以上でもそれ以下でも燃費は悪化します。
高速道路での燃費が良いのは、加減速が少なく、ほぼ一定速度で走行して停止することがないからです。一般路の走行では、渋滞もあり、信号もあるのでストップアンドゴーと加減速の繰り返しになります。発進時や加速時にはより多くのエネルギーが必要なため、燃費が大きく悪化してしまうのです。
「直管マフラー」で走りはよくなるどころか、むしろ悪化
マフラーを外して直管にする直管マフラーは、排気抵抗が低減するのでエンジンの出力が向上して走りが良くなると思いがちですが、実はそうでもありません。
マフラーを直管にすると、全回転域で出力が向上するのではなく、向上するのは主として高速域です。これには、排気脈動が関係しています。
排気ガスは、エンジンから間欠的に噴出するので排気管の中には排気脈度(圧力波)が発生します。排気バルブの近傍の排気管圧力が脈動の谷に合致すれば、排気ガスの抜け(吸出し効果)が促進され、逆に脈動波の山に合致すると抜けが悪くなるのです。マフラーを除去することで圧力波の周波数が変わり、高速域の抜けは良くなっても、低中速域の排ガスの抜けは悪化します。
直管マフラーにすることで、高速出力は向上しますが、低中速トルクはむしろ低下します。そうなると、一般的な走行では、加速や伸びが悪化して扱い難いクルマになってしまいます。マフラーを外した、如何にも速そうに見える不法改造車は、排気音がうるさいだけの見掛け倒しなのです。
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