上越新幹線、東北新幹線で活躍し、Maxの愛称で親しまれたE4系がラストランを迎えた。世界を見ても全車2階建ての高速鉄道車両は皆無に等しく、先代のE1系MAXの伝統を引き継いだE4系との別れは非常に寂しい限りだ。
8両編成で、2本連結した16両編成での定員数は1634人と世界最大級。夏休みなどの繁忙期のみならず、東日本大震災や度重なる災害時でもその圧倒的な人員輸送能力はどこか安心感があった。
そんな新幹線随一の頼もしい車両が引退。惜別の念を込めて引退するE4系と在来線の2階建て事情についてレポートする
文、写真/成田颯一
【画像ギャラリー】ありがとう、いとしのMax!! 1997年デビューの2階建て新幹線がついに引退!!
■まるで壁、圧巻の2階建て16両編成
1997年に東北新幹線でデビューしたE4系は、当初はMAXやまびことして盛岡まで乗り入れていた。その後、東北新幹線のスピードアップ化に伴い、E4系は上越新幹線へと活躍の場を移す。「MAXとき」、「MAXたにがわ」として活躍の場を移した。
デビュー当初、黄色だった帯色は、2016年からは全車が朱鷺色と呼ばれるピンク色となっている。デビュー当初は、「元祖2階建て新幹線」ともいうべくE1系新幹線がいたが、やがて引退。E4系が国内最後の2階建て新幹線となった。
座席は、3列+3列と、3列+2列の組み合わせで、2階席のからの眺めは、高架の壁より少し高く、普段乗っている車両からは見えない景色を望むことができる。また、1階席は反対に、目線にホーム上の人の足首が見えるくらいの高さでこれも新鮮だった。
多くの人が集まるお盆や冬のスキーシーズンには、その圧倒的な輸送力をフルに発揮して貢献した。最後は7編成が残り、すでに引退した先頭車両1両が新潟県の新津鉄道資料館にて展示されている。
■引退が延期に! 最後は有終の美を飾る
E4系は当初の計画では2020年で引退し、北陸新幹線で走っている車両と同じ、E7系に置き換わることが予定されていた。しかし、2019年に発生した水害で、北陸新幹線の車両基地が浸水。
最新鋭車両E7系の半数近くがが水没し廃車となった。当然ながらE7系が輸送の大半を担う北陸新幹線では車両不足が発生し、急遽、上越新幹線用に準備されていたE7系を長野新幹線で使わざるを得ない状況となった。
そうなると今度は上越新幹線の車両が不足するのだが、この時に白羽の矢が立ったのが引退が決まっていたE4系だ。スピードこそE7系には適わないものの、輸送力では業界随一。E4系は最後のご奉公をなじみ深い上越新幹線で行った。
2021年の3月についに引退が発表される。それに合わせてJR東日本からさまざまな企画が発表となった。
「Thank you Max!」のラストランロゴを車両にラッピングし、グッズを展開。SNSでも積極的なPRが行われ、10月1日の定期運行最終日には、多くの人が駆けつける中で運行を終えた。今後は、引退に合わせた旅行商品として運行予定だ。
JR東日本にとっても繁忙期の輸送にはE4系はなくてはならない存在であり、「地味だけどいないと絶対に困る」キャラクターだったはずだ。まさに「Thank you MAX!」だ。
コメント
コメントの使い方