グレード体系を縮小した継続生産の形だったこともあり、「そろそろ絶版では? 」と言われていた5ナンバーサイズのセダン&ステーションワゴンのカローラアクシオ&カローラフィールダーながら、9月6日に一部改良で自動ブレーキの昼間の歩行者対応機能とオートライトの追加という安全装備の強化が行われた。
さらに、9月14日にはカローラファミリーとしては初のSUVとなるカローラクロスが加わり、すでに人気車となっているなど、にわかにカローラにまつわる動きが活発になっているように感じる。
という背景もあり、ここでは運転歴23年間で20台近く乗った愛車のなかにカローラファミリーが2台ある筆者が、カローラの系譜を大雑把に振り返り、その存在意義を考えてみた。
文/永田恵一、写真/トヨタ、池之平昌信
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■そもそものカローラの系譜を辿る
カローラは日産サニーに続く大衆車として1966年に初代モデルが登場した。初代カローラはサニーより排気量やボディサイズが大きいといったわかりやすさや、「弱点がなく、高い満足度を提供する」という意味の「80点+α主義」という長年続く思想などにより大成功を収めた。
カローラは兄弟車のスプリンター、2ドアのレビン&トレノ、ステーションワゴン&バンといったボディタイプを増やしながら、順調に販売、生産台数を拡大していくのだが、大きな転換期となったのがレビン&トレノ以外、満を持してFF化された1983年登場の5代目モデルである。
その後カローラは1987年登場の6代目モデルと1991年登場の7代目モデルでは、日本のバブル期という時代背景もあり、ゴージャス路線を進む。
■1995年の8代目と2000年の9代目
しかし、1995年登場の8代目モデルではバブル崩壊によりコストダウンに注力したこともあり、カローラとしては安っぽさを感じたのも否めなかった(これは今になると7代目カローラの質感がよすぎただけに、そう感じただけだったのかもしれないが)。また、8代目モデルでは3列シート仕様もあるミニバンとなる、スパシオも加わった。
2000年登場の9代目モデルでは当時のステーションワゴン人気もあり、車名をフィールダーとしたステーションワゴンがカローラファミリーの大きな柱になり始めた。
■2006年の10代目から現行12代目
カローラファミリーにとって2度目の転換期となったのが、2006年登場の10代目モデルである。
カローラファミリーはこのモデルから日本向けは5ナンバーサイズセダンのアクシオとワゴンのフィールダーに、海外向けは3ナンバーサイズが中心となり、海外向けのハッチバックはオーリスの車名で日本でも販売され、日本専用でオーリスをラグジュアリーとしたモデルとなるブレイドも初代かぎりながら加わった。
2012年登場の11代目モデルでは、オーリスは日本でもキープコンセプトで継続されたが、アクシオとフィールダーは当時の3代目ヴィッツベースという形でフルモデルチェンジされた。11代目モデルのアクシオとフィールダーはちょっと冴えないモデルだったが、販売は堅調で、冒頭に書いたように現在も継続販売されている。
そして、現行型となる12代目モデルはまずオーリス後継となるカローラスポーツから2018年に登場。2019年には日本向けのセダンとなるカローラとステーションワゴンのカローラツーリングも加わるのだが、注目したいのはそのボディサイズだ。
カローラとカローラツーリングも3ナンバーサイズなのだが、ホイールベースを含めた全長と全幅が海外向けとは異なる日本専用サイズになっているのだ。この点に加え、12代目カローラはトヨタ車やカローラに求めたいソツのなさと趣味性のようなものが絶妙にバランスされていることもあり、カローラに対する注目が日本でも再び高まっているように感じる。というタイミングで、先日カローラクロスが加わった。
■カローラの存在意義とは?
誤解を招くような表現をすると、カローラはセダンにかぎってだが、カローラアクシオまで「オジさんグルマ、ダサい」といったイメージを持たれがちなところも否めず、浅はかだった筆者も20代前半まで近いことを思ったことはある。しかし、筆者はそれが大間違いだったことを20代後半から30代前半に乗ったカローラファミリーの2台に気づかされた。
その1台目は8代目カローラファミリーで、カローラレビンとしては最後となったAE111型の1.6Lのスポーツエンジン搭載車である。このクルマは当時仲間で草レースをしており、本番車がレビンだったこともあり、筆者も「同じクルマがあればイザという時に何かと助かる」というのもあり、本番車とは別の同じクルマを足にしていた。
この時、本番車のレビンが凄かったのはライトチューンでサーキットをガンガン楽しめるクルマになったことに以上に、持久力と耐久力の素晴らしさである。
10年落ちのクルマだっただけに一度相応の整備をすると、軽いクルマだったこともあり、タイヤとブレーキ関係を高性能なアフターパーツにすればこの2点の性能低下はほぼなし、エンジンもオイルクーラーを付ければ温度上昇もなし、つまりガソリン残量だけ気にしていればずっと全開で走れたのだ。
それが2年間さんざんサーキットを走っても問題なかったのだから、走った距離を考えるとレビンにかかった費用は実に安上がりだった。
■『ランクス』に普通のクルマの偉大さを教わった
2台目は9代目カローラファミリーの5ドアハッチバックとなるカローラランクスの普通の1.8Lエンジン搭載車だ。このクルマは親族に譲ってもらったもので、「クルマへの関心がなくなりそうというある種の怖さを感じるくらい、普通のクルマ」だった。しかし、クルマを普通に使う世の中の大多数の人からすれば、これは非常に大切なことというのをランクスには教えられた。
それだけにカローラは筆者がレビンで実感した「丈夫で長持ち」という点を土台に、やり方次第ではマニアも楽しませ、普通の人にはちゃんと手入れをすれば末永く大きな出費なく乗れる、ライフラインのようなクルマである。
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