セダンが売れていない。「セダンはカッコいい」と思う人も一定数いるだろうが、セダンを「ダサい、オジさんっぽい」と思う人のほうが圧倒的に多いのが現状だ。
とはいえ、クラウンやスカイラインといったビッグネームのセダンはきちんと残っているし、各メーカーのフラッグシップはセダンであることが多い。これほど不人気なセダンが「フラグシップ」である理由とは!? セダンでしか味わえない魅力、セダンだけがもつ価値というものは、本当にあるのだろうか。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、MAZDA、SUBARU、DAIHATSU、ベストカー編集部
実用性が重視されるようになり、価値観に変化が
セダンは一般的に、フロントにエンジンスペース、キャビンスペースである中央部には4枚のドアを装備し、リアは荷室スペース、となっている。前・中央・後ろと3つの部分に分かれることから、「3ボックスカー」とも呼ばれる。1980年代までは、乗用車はセダン形状がスタンダードであり、カローラやサニー、クラウン、マークII三兄弟が販売ランキング上位の常連であった。
ところが1990年代に入ると、パジェロ、ハイラックスサーフ、テラノといった、今でいうライトクロカンSUVや、レガシィツーリングワゴンなどのステーションワゴンが人気となり、90年代後半になると、RAV4、オデッセイ、ステップワゴンなどが爆発人気となる。これまで、「乗用車といえばセダン」だった価値観が覆り、実用性が高いクルマに人気が集中するようになったのだ。
もともと軽自動車やコンパクトカーはサイズに制約があるため、実用性を持たせるためにリアがハッチバックになるのが必然ではあったのだが、これはある意味ヒエラルキーを生み出していたものでもあった。つまり、リアにトランクを持てるセダンはゆとりのある「贅沢」なクルマであるのに対し、ハッチバックはそれに劣る、実用性重視のコミューターという位置づけだ。
しかし、SUVやステーションワゴン、ミニバンなどがヒットしたことによって、「実用性が高い方が素晴らしいクルマ」という価値観に置き換わっていく。
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